No.540
2005年9月21日
勧告の値切りは断じて許さない
= 05年人事院勧告の取り扱いをめぐって総務省と交渉 =
 公務労組連絡会は21日、05年人事院勧告の取り扱いにかかわって、総務省と交渉しました。
 第2回給与関係閣僚会議が20日に開かれましたが、一時金の改善について慎重に対応すべきとの意見も出され、結論が持ち越されています。
 こうした緊迫したなかで配置された交渉では、「マイナス勧告」「給与構造の見直し」を実施しないこととあわせ、勧告の値切りなどは断じておこなわないことを強く求めました。

「一時金の改善は慎重な検討が必要」と閣僚会議で議論

 総務省との交渉には、公務労組連絡会からは石元議長を先頭に、若井事務局長、黒田事務局次長、新堰(全教)、篠原(自治労連)の両幹事が出席、総務省は、人事・恩給局の高尾参事官補佐、総務課の笹森課長補佐ほかが対応しました。
 はじめに、石元議長は、「8月15日に要求書を提出してきたが、勧告の実施は、国家公務員だけでなく自治体職員や教員をはじめとして多大な影響を与える。あらためて、マイナス勧告と給与構造の見直しを実施しないように求める」とのべ、現時点での検討状況を質しました。
 高尾参事官補佐は、以下のように回答しました。
●人事院勧告制度は、労働基本権制約の代償措置としての根幹をなすものであり、政府としてこれを尊重することが基本姿勢だ。この基本姿勢にもとづき、国政全般との関係を考慮しつつ、適切に対処するため十分に議論している。
●20日に第2回の給与関係閣僚会議が開かれたが、その際、各大臣からは、勧告どおりの実施を求める意見があった一方で、国の厳しい財政状況や、政府の総人件費削減の方針をふまえれば、一時金改善の実施は、なお慎重な議論が必要だとの意見も出された。また、官民比較の見直しも検討すべきだとの意見もあった。こうしたことから、結論が出るにはいたっていない。

 若井事務局長は、「人事院勧告を尊重すると言いながら、その一方で、国政全般を考慮するというのは、財政状況などから慎重に検討せよという谷垣財務大臣などの発言を肯定するものではないか」と、使用者としての総務省の姿勢を厳しく追及しました。
 高尾参事官補佐は、「人事院勧告を尊重するというのは総務省としての基本姿勢だ。ただし、給与関係閣僚会議のなかでは財政の議論も出てくる。政府としては、国政全般を考慮する必要がある」とのべたことから、「一時金の値切りは断じて認められない。次回の閣僚会議では、総務省としてどのような立場でのぞむのか」とただしましたが、「総合的な勘案となるが、総務省としては、あくまでも勧告尊重、完全実施を主張する」と回答しました。
 若井事務局長は、「給与構造の見直し」について質しましたが、高尾参事官補佐は、「確かに痛みのともなう改革であることは承知している。しかし、これまでも、給与引き下げの勧告も総務省として受けとめてきた。その点からも、『給与構造の見直し』の内容も尊重したい」として、勧告の内容のまま実施すべきとの態度をあらためて表明しました。
 また、新堰幹事は、「財政状況が厳しいと言うが、そのツケを職員に押しつけることはあってはならない。第一線でまじめに一生懸命がんばっている職員を考えて結論を出すよう求める」とのべ、篠原幹事は、「地方自治体の職員への影響を無視することはすまされない。自治体では、約4割が独自に賃金カットしている。『給与構造の見直し』の実施は、地方公務員の給与水準の大幅な引き下げにつながる。そのことを考慮した慎重な対応を求める」とのべました。
 高尾参事官補佐は、「『給与構造の見直し』によって痛みがともなうことは認識している。しかし、一方では、厳しい国民の意見もある。そうした声に応える適切な勧告であると考えている。地方で働く人たちにとっては、地域手当や広域異動手当などの新設によって、職員の努力にも応える内容ともなっている」とのべましたが、一方で、「地方公務員の給与については、各自治体が判断するものであり、総務省としては答えられない」と回答するなど無責任な態度をとりました。

職場からの「要求打電」と「第1次中央行動」への参加を

 マスコミ報道では、20日の給与関係閣僚会議のなかで、谷垣財務大臣などから一時金改善の値切りを求める意見が出されたことが伝えられています。政府による勧告の値切りは、総務省回答にも示されるように、労働基本権制約の「代償措置」としての人事院勧告制度を踏みにじる重大な行為です。
 しかし、一方で、総選挙の結果によって「改革に対する国民の信を得た」とする小泉首相の姿勢に見られるように、勧告が乱暴に取り扱われる危険性もあり、かつてなく予断を許さない状況をむかえています。
 こうしたもと、公務労組連絡会では、「第1次中央行動」を9月29日に配置しつつ、職場・地域からは緊急の「要求打電」行動にとりくみ、これらのたたかいを背景にして、総務省への追及を強めていきます。
以 上