No.531
2005年7月14日
教員給与の体系・水準確保求めて全人連へ申し入れ
= 要請趣旨について「会長、地方人事委員会」へ伝えることを表明 =
  公務労組連絡会は14日、全教とともに教員の給与制度について、都道府県・政令市などの人事委員会で構成する全国人事委員会連合会(全人連)給与部会に申し入れました。
 この申し入れは、国家公務員の教育職俸給表(二)(三)が廃止に伴い、公立学校教職員給与の国準拠制が無くなり、「給与構造の見直し」が行われているもとで、全国共通の標準的な教員給与の体系・水準確保を求めて、あらためて全人連へ要請したものです。
 申し入れに答えて、全人連給与部会の森正比古部会長は、「要請の趣旨につきましては、確かに承りました。早速、会長並びに全国の人事委員会にお伝えいたします」と表明しました。

あらためて、給与体系・水準の維持を求める

 全人連への申し入れには、公務労組連絡会からは、若井事務局長、新堰幹事(全教副委員長)、全教から東森書記長が出席、全人連給与部会からは、森部会長(愛知県人事委員会)をはじめ、中川副部会長(福岡県人事委員会)ほか、都道府県から高野(北海道)、大泉(宮城)、六本木(群馬)、武井(山梨)、端(富山)、杉本(大阪)、田中(兵庫)、岸本(島根)、櫻(広島)、安野(愛媛)、城(大分)、政令市から高家(横浜)の各人事委員会の担当課長らが、さらに事務局側から大森副参事ほかが出席しました。
 はじめに、若井事務局長が、「日頃から公務労組連絡会の要請に対して、ご尽力いただき、誠実に対応していだいていることに感謝する。勧告の作業時期に当たって、改めて本日提出する要請書をふまえて全人連としての対応をお願いしたい」とのべました。
 また、新堰幹事(全教副委員長)が、要請の趣旨にかかわって、「公立学校教員給与の国準拠制が廃止されるもとで、この間、公教育におけるナショナルミニマムの確保と、『同一労働・同一賃金』の原則にもとづき、教員給与の水準確保を要請してきた。全人連として誠実に対応され、制度の制約のもと今年度は『財団法人人事行政研究所』に委託することになった。その上で、2点要請したい。1点目は各都道府県においては、初任給の格付け、号俸の足のばしなどで、労使の確認・経緯があるのでそれを尊重し、現行の教員賃金体系及び水準を少なくとも維持してもらいたい。2点目はやはり人事院等公的機関で作成できるようにならないかとの要求が強いので、全人連の検討をお願いしたい」と求めました。
 これに対して、森部会長は、以下のように回答しました。

(全人連給与部会長回答)
 ただいまの皆様からの要請の趣旨につきましては、確かに承りました。早速、私から会長並びに全国の人事委員会にもお伝えいたします。
回答は以上ですが、公務員給与をめぐる現在の状況について若干申し上げておきます。
 地方公務員については、今年の民間給与実態調査はすでに終了し、今後は調査結果をもとに各人事委員会において精緻な集計・分析が行われることになります。
 一方、国においては、5月に「給与構造の基本的見直しについて」の措置案を作成し、関係機関との協議が続けられていると聞いております。この中で、地域の公務員給与が民間賃金を適切に反映したものとなるよう俸給水準を見直すなど、大幅な制度改正が予定されています。
 今年の国勧告において、さらに具体的な内容が提示されるものと思われますが、国の給与制度見直しは、地方公務員の給与制度にも少なからず影響を及ぼすものとして、今後もその動向を注視したいと考えております。
 今回皆さんから要請のあった教員給与の問題ですが、すでに昨年国準拠制が廃止され、各自治体が教員給与を自主的に決定し、教育職員の給料表についても最終的には各自治体がその実情に応じて決定することとなりました。
 全人連としては今年の給与勧告に向けて、各自治体の実情を踏まえ、その主体的な取組みを支援するため、各自治体の参考となる教職員給料表の作成をはじめとして、教員給与について調査研究を進めていきたいと考えております。
 ただいまの皆様からの要請内容については、調査研究の結果等も踏まえて検討していきたいと考えております。私の方からは以上です。

 この回答を受けて、東森書記長は「参考となる教員給料表はいつ頃作成できるのか」と質問し、これに対して、全人連事務局大森副参事は「8月中を目途にしているが、勧告後1か月程度は欲しいと思っている」と回答しました。

以 上


(別添資料)

2005年7月14日

全国人事委員会連合会
    会長 内田 公三 殿

                    公務労組連絡会      
                           議長 石元  巌
                     全日本教職員組合     
中央執行委員長 石元  巌
日本自治体労働組合総連合 
中央執行委員長 駒場 忠親

教員の給与制度についての要請書

 日頃から、教職員の賃金・労働条件の改善に向けてご尽力されていることに敬意を表します。
 さて、ご案内の通り、国立大学の法人化に伴い昨年度から公立学校教員給与の国準拠制が廃止となり、各地方人事委員会が独自に教員給料表を作成し勧告することになりました。
 これに際し私たちは、公教育におけるナショナルミニマム確保と『同一労働同一賃金』の原則に基づき、貴職をはじめ関係方面に対し次の要請を行ってきました。
1、公立学校教員給与の国準拠制が廃止されたもとでも、これまでの各都道府県における確認・経緯を尊重し、現行の教員賃金水準を少なくとも維持すること。
2、国・関係団体の責任で、各都道府県人事委員会が参考にできる、全国共通の標準的な教員給料表・諸手当を策定すること。
3、人事院に対しては、今後も、中央の人事行政機関として、『人事行政の公正の確保及び職員の利益保護』の立場で、必要な役割の発揮を求めること。 
 このような中で全国人事委員会連合会(全人連)から人事院に対し、「参考として公立学校義務教育等に関する給料表を示していただきたい」との要望書を提出されるなど、一貫して誠実な対応をしていただき感謝申し上げる次第です。今年に入ってからも2月14日、4月11日の2回の要請に応じていただき、今年度については財団法人人事行政研究所に参考となる給料表の作成を委託し、誠実な対応をしていただいております。
 周知の通り、自治体の財政難、人事院や総務省による「賃金制度の見直し」、「三位一体改革」による義務教育費国庫負担金の削減、財務省からの人材確保法廃止の圧力など教職員賃金をめぐる状況はたいへん厳しいものがあります。このようなもとでは、教員の給与水準が引き下げられることや都道府県・教職員間の給与格差が拡大することなどが懸念されます。
 つきましては、教職員が安んじて教育活動に専念できるようにするために、下記の通り、重ねて要請いたします。

1、公立学校教員給与の国準拠制が廃止されたもとでも、これまでの各都道府県における確認・経緯を尊重し、現行の教員賃金体系及び水準を少なくとも維持すること。

2、引き続き私たちに要請に基づき協議するとともに、人事院等公的機関において、各都道府県人事委員会が参考にできる、全国共通の標準的な教員給料表・諸手当を策定することを検討すること。
以 上