No.528
2005年6月24日
「骨太方針」反対、「総人件費削減」は許さない!
= 「最賃デー・第2次中央行動」に公務・民間から2千人が参加 =
 公務労組連絡会は24日、全労連の「最賃デー」行動とも連動させて、夏季闘争の第2次中央行動にとりくみました。
 小泉内閣が21日に「骨太の方針」を閣議決定し、公務員総人件費の「削減」を打ち出すなど、国民犠牲の「構造改革」のテコとして公務員賃金や定員削減がねらわれるもとで、この日の行動では、「骨太の方針」に抗議するとともに、今年の勧告でねらわれる人事院の「給与構造の見直し」に反対して、各府省・人事院への要求行動を展開しました。
 また、最低賃金引き上げの課題と一体でとりくんだ人事院・厚生労働省前行動をふくめて、公務・民間の2,000人が全国から参加しました。

「最賃・人勧」で厚生労働省前・人事院前の歩道を埋め尽くす

 東京は今年初めて最高気温が30度を超え、真夏日の暑さのなかで、昼休みの人事院・厚生労働省前行動が12時過ぎにはじまりました。
 最低賃金の目安額が議論される委員会開催に合わせた「第2次最賃デー」として、全労連は、朝から厚生労働省前で座り込み行動にとりくんでおり、この行動から引き継いだ要求行動には、歩道があふれるほど全国の仲間が詰めかけました。
 人事院前には、色とりどりの組合旗や「何で賃下げやねん」と描かれたノボリ旗、「人事院は代償機関としての使命を果たせ」のメッセージが一文字ずつ書かれたプラカードなどがならび、昼休みの霞が関は騒然とした雰囲気になりました。
 主催者あいさつした全労連の坂内事務局長は、「公務員に対する攻撃は、JR西日本やJAL、三菱など企業モラルの低下のもとで、大企業の悪事を国民の目からそらすためのものだ。最賃のたたかいでは公務組合の果たした役割は大きい。今度は、公務員にかけられている攻撃を官民一体ではね返そう」と呼びかけました。
 公務員賃金をめぐって情勢報告した公務労組連絡会の山本賃金・労働条件専門委員長は、この間の人事院による「給与構造の見直し」の検討状況を紹介しつつ、「人事院は、政府の圧力に屈するな。官民を問わず、全国一体でたたかいをすすめよう。全力で奮闘する」と決意も込めて力強く発言しました。
 その後の決意表明では、「今の政府には私たちの税金を託せない。庶民の痛みをわかっていない。この上、なぜ公務員の賃金を5%も引き下げる必要があるのか。生活を良くするため連帯してたたかおう」(生協労連・桑田委員長)、「大阪労連として、人事院近畿事務局に対して、『スト権を取り上げておいて、賃下げするとは何事か!』と怒りをもって追及した。民間も公務も暑い夏に大いに奮闘したい」(大阪労連・服部副議長)など、民間・地方組織から発言がありました。
 また、公務の地方組織の代表からは、「東北は怒っている。地方を削って中央を豊かにするとは何事か!地域経済や地域の産業が落ち込んでいるなかで、地方を豊かにすることこそ国の役割だ。最後までがんばる」(東北「地域給」対策会議・土井国公東北ブロック事務局長)、「6月16日の人事院近畿事務局包囲行動には約1千人が集まった。しかし、交渉では、民間より公務がめぐまれており、キャリアもまだ処遇が低いなどと発言し、参加者の怒りをかった。今後とも人事院を追及してたたかう」(国公近畿ブロック山下事務局長)、「地方の状況は惨憺たるものだ。博多駅では段ボールで生活する家族を見た。『地域給』で、こうした人たちを救えるのか!九州の仲間は絶対に認めない!」(国公九州ブロック岩尾事務局長)など、地方の怒りの声が人事院にぶつけられました。
 行動の最後に公務労組連絡会の石元議長が閉会あいさつし、参加者は各府省への要求行動にむかいました。

  国民が反対する「郵政民営化関連法案」の廃案を勝ちとろう

 総務省への要求行動では、主催者あいさつした駒場副議長は、「まず、『骨太の方針』を決定した内閣の一員である麻生総務大臣に抗議する。公務員賃金3割カットは消費税5%に相当するなどとマスコミ報道されているように、公務員総人件費削減は消費税増税の地ならしだ。夏から秋にかけてのたたかいが重要となっており、全力で奮闘しよう」と訴えました。
 公務労組連絡会の柴田幹事・権利専門委員長の情勢報告では、郵政民営化や公務員定員削減、市場化テストなどの課題が簡潔にのべられ、とりわけ、国会で議論されている郵政民営化関連法案は、議論すればするほど反対意見がひろがっており、廃案を勝ちとるため運動の強化が強調されました。
 3名の代表の決意表明では、「自治体職員に対して成果主義賃金の本格導入がねらわれている。公務の仕事に成果・業績主義はなじまない。みずからの要求課題と結びつけて、東京都議選のたたかいに全力をあげる」(東京自治労連・荻原副委員長)、「『骨太の方針』では公務員の純減が示されたが、国土交通省の交通運輸関係の人員は、定員削減や独立行政法人化によって、わずかな間に1千人以上も減っている。地域と一体となった行政確立へがんばる」(国公労連全運輸・川根中央執行委員)、「世論調査では、郵政民営化には7割が、反対もしくは今国会で決めるべきではないと答えている。小泉首相は、何のための民営化なのかの疑問に答えていない。断固、廃案をめざす」(郵産労・能渡中央執行委員)などの発言がつづきました。

サラリーマン直撃の大増税路線を許すな!

 財務省前要求行動では、主催者あいさつで堀口副議長は、「政府は、公務員総人件費削減を『構造改革』の目玉とし、社会保障切り捨て、庶民大増税という10兆円の国民負担増を企んでいる。勤労者国民と力を合わせて郵政民営化阻止、悪政に歯止めをかけよう」とのべました。
 情勢報告で、国公労連飯塚中執は、「骨太の方針2005」の問題に触れつつ、この間の総人件費削減に関わる情勢を報告。総務大臣ものべているように、財政赤字の原因が人件費にないことを強調しました。そして、「改革基本方針」が今秋にも策定されようとしている中で、@社会保障切り捨て・大増税の露払いとしての削減を許さない、A行政サービスと労働条件の向上をもとめる、B公務労働者の賃金・労働条件決定ルールに不当な介入をさせないこと、を重点に今後も財務省・経済財政諮問会議に働きかけていくことを表明しました。
 決意表明では「国民の権利・財産を守る法務行政を充実し、国民のニーズに応える行政へ、定員削減を許さず、今後とも署名など運動を強化していく」(国公労連全法務・大磯副委員長)、「自治体キャラバンでは、ほとんどの首長が、政府の三位一体改革で苦しみ、我々と同じ思いであることが明らかになった。神奈川県では1割の職員が削減され過密労働が加速するなかで、知事部局で昨年23人が在職死している。地方自治制度を崩壊させる悪政許さず、民主的行財政確立求めて国民と共同してたたかう」(神奈川自治労連・片野委員長)、「『構造改革』で国民金融公庫が縮小されると、日本経済を支える小規模事業所が崩壊する。利用者国民の声を尊重した改革をおこなえ。昇任昇格差別反対闘争の勝利めざして引き続きたたかう」(特殊法人労連・清水副議長)とたたかう決意がのべられました。

痛みを押しつける「骨太の方針」に強く抗議する!

 内閣府・経済財政諮問会議への要求行動では、主催者あいさつで石元議長は、「6月21日に『骨太の方針』が閣議決定され、『小さくて効率的な政府』のための改革をうたっているが、内実は郵政民営化、市場化テスト、公務員の削減など、地方切り捨て、社会保障削減で、大増税・消費税増税を国民に迫るものだ。これだけ国民・住民をいじめたら一揆が起こる。言論による一揆でこの悪政撤回をせまろう」とあいさつしました。
 北村事務局次長は、「小さくて効率的な政府」とする公務員総人件費削減の先には、消費税増税など大増税がねらわれている。また、郵政民営化と市場化テスト法、地方交付税の削減の3点にについて要約して、情勢報告しました。
 決意表明では、「ハローワークの一部で市場化テストが導入されたが、利益・効率を求める民間ではなく、ILOが宣言した『労働は商品ではない』の精神を社会のルールとして確立していくためがんばる」(国公労連全労働神奈川支部・石川支部長)、「『骨太の方針』では国の歳出の見直しに合わせて地方の歳出も見直そうとしている。こういうことで国民の理解が得られるのか。ねらいの根底にある総人件費削減を学習と夏季闘争でたたかう」(茨城自治労連下妻市職・市村書記長)、「高校生は9月の就職解禁日にむけて活動を始めているが、授業料を払えず辞める子も出ている。『骨太の方針』は社会を不安定化する方針だ。夢が実現できるようたたかいの先頭にたとう」(日高教・藤田中央執行委員)とのべました。

たたかいを強化し「7・26中央行動」に最大限の結集を
〜総決起集会で公務労働者のたたかう決意を固め合う〜

 3か所の各府省要求行動の参加者は、日比谷公園野外音楽堂に集合し、14時から「05夏季闘争勝利6・24総決起集会」を開催しました。
 主催者あいさつした石元議長は、「政府の『骨太の方針』は、総人件費削減へすさまじい公務リストラを主張している。一方で、消費税増税をねらう政府税調は、『骨太の方針』の断行は不可欠だと言っている。こうしたなかでとりくまれた今日の行動の成功を夏季闘争の飛躍にむけた土台にしよう。また、国政にも影響を与える都議会議員選挙で、大いに奮闘しよう」と呼びかけました。
 国会審議と東京都議選の応援演説の合間をぬって激励に駆けつけた日本共産党の吉井英勝議員は、郵政民営化や公務の民間委託などにふれ、小泉「構造改革」の問題点を指摘したうえで、「国民犠牲をせまる小泉首相、そして東京都の石原知事、どちらも『オール与党』に支えられている。石原知事・小泉首相の暴走を許さず、政治の流れを変えよう」と訴えました。
 全労連を代表して連帯あいさつした大木副議長・全労連全国一般委員長からは、「民間賃金底上げのたたかいでの奮闘に感謝する。今や青年の2人に1人が非正規労働者だが、市場化テストなどがすすめば、さらに非正規労働者がつくり出される。また、公務員賃金5%削減は、民間の賃下げの流れを加速させるものだ。公務も民間も一緒になって全力をあげてたたかいたい」と決意がのべられました。
 若井事務局長の闘争報告では、この間の公務労組連絡会のとりくみが報告され、とりわけ、人事院あての要求署名は30万筆まであと一歩にせまっていることを紹介し、引き続き、最後までの奮闘を呼びかけ、とくに、過去最大規模で計画がすすむ「7・26第3次中央行動」への参加を訴えました。
 その後の5単産の代表の決意表明では、「小泉内閣は、『骨太の方針』などを通して、増税か?公務員賃金削減か?と両天秤にかけている。こうしたもと、民間労働者や国民との共同がますます重要になっている。地域に打って出て、住民とともにたたかう決意だ」(自治労連・松本書記長代行)、「教員の人事考課制度など成果主義にむけた攻撃が強まるもと、これに反対する声が高まっている。人事院あての『給与構造の見直し』反対署名は、全教として9万筆にせまる署名が集まっているが、かつてない集約数だ。教育基本法改悪反対のたたかいでは、一万人集会の成功を力にしてがんばりたい」(全教・本田副委員長)、「公務員の働きがいを否定する『骨太の方針』に抗議する。国民の権利が切り捨てられているなかで、公務労働者が、暮らしと権利を守る防波堤になる必要がある。強固な土嚢を積み上げよう。夏から秋へと連続したたたかう」(国公労連・川村中央執行委員)、「郵政民営化関連法案は、何としても廃案にする。与党は、7月はじめに衆院通過をねらっているが、世論とあまりにもかけ離れており、地方から国会議員への要請を積み上げるなど、郵政民営化を阻止する運動の先頭にたって奮闘したい」(郵産労・山崎委員長)、「独立行政法人の業務評価は、どれだけ職員を減らしたかという点にある。市場化テストは、コストが安ければいいという考え方が根底にある。5年間で10%の定員削減が押しつけられているもとで、力合わせてたたかいたい」(特殊法人労連・岩井議長)など、「骨太の方針」への抗議、市場化テストや定員削減に対する怒りと、これらの攻撃を断固はね返す決意が次々とのべられました。
 決意表明をうけて、人事院の方向にむかって、国公労連・清水中央執行委員のリードでシュプレヒコールを繰り返し、最後に、堀口副議長の団結ガンバロウを三唱して決起集会を閉じました。
 その後、参加者は、郵政民営化関連法案など悪法がねらわれる国会にむけて、元気よくデモ行進に出発しました。また、デモ行進終了後には、全参議院議員を対象とした「郵政民営化反対国会請願署名」の提出・要請行動にとりくみました。

人事院に8万筆の「給与構造の見直し」反対署名を提出

 中央行動に先立って、この日の午前中、人事院への署名提出・要請行動に取り組みました。要請行動には、各地方公務産別組織などの代表8名が参加し、地方からの声を人事院に届けました。
 要請行動は、人事院職員福祉局の小林主任職員団体調査官、鈴木連絡調整官が対応しました。
 出席した地方代表からは、「道内の転勤でも、数百キロを動く場合がある。寒冷地手当が改悪され、そのうえ5%下がれば、北海道の人間は働くなと言っているようなものだ。地方議会でも意見書が採択されている」「トヨタという大企業があっても、愛知では下請け零細企業が中心だ。5%の賃下げに民間が注目している」「高知では、28の自治体で独自の賃金カットがやられている。南国市ではマイナス6%カットだ。物価も決して安くない。このうえ地域給導入は許せない」「5%の賃下げで、東北経済に1230億円のマイナスの影響がでると試算されている。これ以上、地域経済を悪くしてどうするのか。地域給には、公務員だけではなく、みんな反対している」などの怒りの声が人事院にぶつけられました。
 なお、この日に提出した人事院あての「給与構造の見直し」改悪反対署名は、午後からの人事院交渉で国公労連が提出した署名と合わせて、8万4千筆を超え、総合計で、29万3千筆となりました。
以 上