No.525
2005年6月14日
「給与見直し」許すな!地域のたたかいひろがる
= 県知事・県議会、諸団体への要請、シンポジウムなど多彩な行動 =
 人事院勧告にむけて各地で積極的なたたかいが繰りひろげられています。秋田では、県公務共闘・県春闘共闘の共催で「6・8諸要求実現行動」がとりくまれ、集会や自治体要請を通して、「給与構造の見直し」改悪反対を訴えました。
 また、宮城では、県春闘共闘や公務労働組合などが共同して「賃金シンポジウム」を開催し、政府・財界がねらう賃金破壊の攻撃をどうやってはね返していくのか、熱い議論が交わされました。

「給与構造の見直し」改悪には自民党県議も強い関心

 秋田県公務共闘は6月8日、秋田県春闘共闘との共催で「6・8諸要求実現行動」を展開しました。05人事院勧告での「給与構造改革」、公務への「市場化テスト」導入反対の運動と、国労・全動労の仲間の国鉄闘争とを結ぶ「一日共闘」としてとりくまれたものです。
 昼休みの「6・8諸要求実現・県庁包囲デモ」には100人が参加しました。デモ出発前の集会では、渡部雅子春闘共闘事務局長が主催者あいさつし、全動労争議団の末田敏男さんと自治労連の高橋功さんが決意表明を述べました。また、「東北『地域給』導入阻止対策会議」から届いた連帯のメッセージが紹介されました。
 集会後、ただちにデモ行進に移り、昼休みの県庁街に「『地域給』導入反対」の声が響き渡りました。デモを見ていた県庁の職員から、「オレたちもがんばる!」という激励の声も届きました。
 午後からは、要請団を編成して人事院がねらう給与構造の「見直し」改悪の問題点を、自治体や地方人事委員会、各団体に訴えて回りました。この行動には、40人が参加、県知事、県人事委員会、県議会各会派、市長会、市議会議長会、町村長会、町村議長会、銀行協会、中小企業団体連合中央会、JR東日本秋田支社に要請しました。
 秋田県では、県公務共闘と国公労連の陳情が、趣旨採択をふくめて32自治体で採択されています。この勢いを力に、現在、県議会に請願を出す準備をすすめています。各会派への要請では、自民党の県議もこの問題について、「党本部に問い合わせてみたい」と強い関心を見せました。また、地方にまわっていた賃金や予算が中央に吸い上げられることに「おかしい」と感想を述べ、県人事委委員会勧告には大いに注目していきたいと話しました。地域経済への影響、低賃金構造の固定化、若者の県外流出の指摘にも理解を示しました。
 中小企業団体連合中央会でも、賃金水準の5%引き下げはマスコミ報道で知っているようでしたが、「この制度が実施されれば、毎年のように民間も公務員も賃下げになるかもしれない」という感想がのべられました。地域経済の回復の遅れはきわめて深刻な問題です。
 国会議員の地元事務所には、教育基本法改悪反対と一緒に要請し、給与構造の「見直し」改悪については、議員個人の考えをぜひ聞かせてほしいと要請しました。
 県知事への要請では秘書課長が対応し、また、人事委員会では課長らが応対しました。人事院勧告についてはこちらの要請を聞くだけにとどまったものの、教職員の給料表については、全国人事委員会連合会が標準となる表の作成を要請していることが明らかにされました。
 市長会は、参加する市からの要請にしか対応できないというにべもない返答でしたが、ねばった要請団から要請文を受けとりました。
 JR東日本秋田支社へは、安心・安全の公共輸送、1047人問題の早期解決、無人駅解消を要請しました。
 午後6時からは、「国鉄闘争の早期解決をめざす決起集会」が70人の参加で開かれました。集会には、「民営化」や「効率化」で公共サービスの問題を関連づけ、モデルケースにも指定されているハローワークの市場化テストについて、全労働の斎藤さんが報告しました。
 秋田県公務共闘では、この日の行動を出発点にして、今後、大仙市(6/21)、秋田市(6/22)、大館市(6/27)など県内各所で「給与構造の見直し」に関する学習会を連続して開催し、人事院勧告にむけた今後のたたかいをしっかりと意思統一することにしています。(報告−秋田県公務共闘・加賀屋事務局長)

「賃金破壊とどうたたかうか」をテーマにシンポジウム開催

 7月の最低賃金審議会の地域最賃目安額の答申、8月の人事院勧告にむけて、「最賃・人勧」を一体にしたたたかいが重要となっているもと、宮城県春闘共闘会議とともに、宮城県国公、宮城県教組、宮城県高教組、自交総連、通信労組など、公務・民間の労働組合が共同して、6月10日夜、仙台市内において「賃金シンポジウム〜これ以上の賃金破壊を許していいのか!」を開きました。200人が参加しました。
 はじめに、県春闘共闘の石垣代表幹事・宮城県労連議長が主催者あいさつし、「シンポを通して、賃金破壊の実態をつかみ、賃金とは何なのかをあらためて理解し合い、ストライキなどこれからの共同闘争の発展をめざしたい」とのべました。
 県春闘共闘代表幹事で県高教組の菊池委員長がコーディネータをつとめたシンポジウムでは、5人のシンポジストが問題提起しました。
 自交総連の小梛さんは、交通運輸の規制緩和がすすむもとで、タクシー台数が際限なく増えてきた結果、ドライバーの年収が200万円にまで減ることが予想されるばかりか、加重労働による過労や睡眠不足で安全がおびやかされている実態を報告しました。通信労組宮城支部委員長の熊谷さんからは、電電公社がNTTへと民営化されるなかで、リストラがすすむとともに、「地場賃金に合わせる」との口実で、賃金が3割もカットされてきた民営化の問題点が明らかにされました。また、宮城県生活と健康を守る会連合会副会長の堀川さんからは、賃金が生活保護基準を下回るもとで、ある労働組合の委員長から「うちの組合員は全員生活保護対象者だ」と悩みを持ちかけられた話などが紹介されました。
 公務組合からは、県国公副議長の岩崎さんが、人事院の「給与構造の見直し」の現状と問題点について報告し、県教組の渡辺書記長が、人勧体制を「敵視」する浅野知事のもとで強行されてきた自治体職員・教員への一方的な賃金カットの実態とたたかいがのべられました。
 これらの報告をうけて、4名がフロア発言しました。発言の中では、建交労の参加者が、「県の公共事業費切り下げによりダンピングがすすみ、ダンプ労働者に影響している。県の政策で賃金が切り下げられ、その賃金に公務員賃金を合わせようとしている。公務員の賃金は決して高くはない。官民が一体で運動をすすめよう」とのべるなど、公務・民間が力を合わせて「給与構造の見直し」など公務員賃金削減に反対してたたかっていく決意も示されました。
 約2時間のシンポジウムでしたが、宮城県春闘共闘では、こうした集会を積み重ねてきており、全国的に見ても貴重なとりくみとなっており、宮城でのこらからのたたかいの発展が期待されています。
以 上