No.489
2004年8月2日
20%も格差つける地域給与「見直し」を検討
= 一時金は「ゼロ回答」、寒冷地手当の大改悪を今年度から実施 =
 公務労組連絡会は2日、人事院勧告を間近にした現時点での検討状況について、人事院職員福祉局の宮本参事官から説明を受けました。
 本俸は、寒冷地手当の削減によって公務・民間の給与水準がほぼ均衡するとして、月例給の改定を見送り、一時金も据え置きの方向です。
 また、寒冷地手当の削減・廃止は、過日、公務労組連絡会に示した内容で、今年度からの実施をあらためて表明しました。一方、20%もの地域間格差の拡大をねらう地域給与見直しを、来年の勧告にむけて検討していくことを今年の給与報告に盛り込むとしています。
 寒冷地手当改悪を突破口とした地域給与の「見直し」改悪を許さないたたかいが、今後、ますます重要となってきています。公務労組連絡会は、8月4日から3日間連続で人事院前の座り込み行動を配置し、最後まで公務労働者の要求実現にむけてたたかいぬきます。

勧告日は8月6日、寒冷地手当を見直すと官民較差ほぼゼロ

 人事院の説明には、公務労組連絡会から若井事務局長、黒田事務局次長が参加し、人事院に現在の検討状況を質しました。宮本参事官は、要旨、次の点を明らかにしました。

1、勧告日は、8月6日(金)をめざして作業をすすめている。

2、官民較差は、給与実態調査では、公務員給与が民間給与をわずかに上回っており、マイナスの較差となる。ただし、寒冷地手当の見直し後で見ると、ほぼ官民の給与が均衡する。したがって、本年の月例給の改定はない見通しだ。

3、特別給(一時金)は、支給月数の変更をしない見通しだ。

4、寒冷地手当の見直しは、過日、公務労組連絡会のみなさんに示した内容で、本年度からの実施を勧告する予定だ。対象地域は、本年4月1日時点の区域による。

5、国立大学の法人化にともなって、教育職(一)は1級を削除して存続、教育職(四)は4・5級を削除して存続する方向である。また、東京大学・京都大学の学長が該当していた指定職12号俸も削除する。これにともない、任期付研究員の俸給月額の上限を指定職11号俸相当に変更する方向である。

6、給与構造・地域給与見直しについては、基本的な考え方を示し、来年の勧告をめざして作業をすすめてきたところだが、次の検討項目等について、問題意識と検討の方向などを示し、各府省、職員団体等関係者との意見交換をすすめ、具体化を図る旨、今年の報告でふれたい。
(1)地域給与の見直しについて
 ・ブロック別官民較差を考慮して、全国共通俸給表の水準を引き下げることを検討
 ・民間賃金の高い地域には、俸給表の引き下げと現行の調整手当の支給率を考慮して、上限20%程度の地域手当あるいは地域調整額を検討
 ・地域格差の別の調整方法として、地域別俸給表等の方式もあわせて検討
(2)俸給表関連の課題
 ・専門スタッフ職俸給表の新設
 ・俸給表構造の見直し(級の新設・統合による級構成の再編、昇給カーブのフラット化)
 ・昇格基準、昇格時の給与額決定方式の見直し等
 ・査定昇給の導入、枠外昇給の廃止等
(3) 手当関連の課題
 ・勤勉手当への実績反映の拡大、指定職の期末特別手当への実績反映
 ・本府省手当の新設
 ・地域手当あるいは地域調整額の新設
 ・転勤手当の新設と調整手当の異動保障の廃止
 ・俸給の特別調整額の定額化

7、官民比較方式の見直しにむけて、以下について報告で言及する方向だ。
 ・来年の官民比較から、比較給与職種から通勤手当をはずし、俸給の特別調整額を入れる等の見直しを検討
 ・民間の人事・組織形態の変化に応じた官民比較方法の検討

8、公務員の人事管理について、報告で次の事項等に言及する方向だ。
 ・能力・実績にもとづく人事管理の推進、再就職ルールの適正化
 ・キャリアシステムの見直しの検討、セクショナリズムの是正、民間人材活用および人事交流の促進等
 ・「多様な勤務形態研究会」の中間取りまとめをふまえた職業生活と家庭生活の両立支援等
 ・試験制度改革、女性公務員の採用・登用の拡大、能力開発・研修等
以 上