No.486
2004年7月26日
総務省交渉「人勧待ち」の姿勢に終始
= 7・27中央行動を前に夏季重点要求で追及 =
 翌日に第4次中央行動をひかえて、公務労組連絡会は27日、「2004年夏季重点要求」にかかわって総務省と交渉しました。
 6月の要求書提出以降2回目の今回の交渉では、人事院勧告前における最終的な回答を求めましたが、「勧告をふまえて対応」とのきわめて不満な回答に終始しました。
 公務労組連絡会は、中央行動では総務省前の要求行動も配置して引き続き追及を強め、勧告日以降も総務省に対して誠意ある対応を求めていきます。

賃金・労働時間短縮・公務員制度など幅広く回答を示す

 総務省との交渉には、公務労組連絡会から石元議長を先頭に、若井事務局長、黒田事務局次長、柴田幹事(自治労連)が出席、総務省側は、人事・恩給局総務課の酒田総括課長補佐、笹森課長補佐ほかが対応しました。
 はじめに、石元議長が、「前回7月5日の交渉で中間的な回答をもらったが、不満な内容であり、引き続く検討を求めてきたところだ。そのことをふまえて、本日は納得できる回答をいただきたい」とのべ、総務省の見解をただしました。
 酒田総括課長補佐は、要旨、次のように回答しました。
●賃金要求については、みなさんの切実な要求として受けとめる。総務省としては、職員のみなさんが安んじて職務に専念できるような給与水準の確保にむけて努力する。
 人事院勧告が出れば、労働基本権制約の代償措置として根幹をなす人事院勧告制度を尊重し、国政全般との関係を考慮したうえ、適切に対応していくことが基本姿勢だ。
 ただし、給与改定にあたっては、国民の理解を得られるものでなければならない点もご理解をいただきたい。
●地域給与・寒冷地手当の見直しについては、人事院の検討作業を見守っていきたい。勧告が出ていない現時点で、総務省として意見を申し上げることは、人事院勧告制度の趣旨に照らして適当ではないので、差し控える。
●退職時特昇の廃止をふまえて、10月から退職手当引き下げ中止を求める要求については、そのことによる影響の大きさや、国民の理解を得られないと考えており、困難である。
●労働時間短縮の要求は、昨年9月に「国家公務員の労働時間短縮対策」が3年ぶりに改正されたことをふまえて、さらなる業務の見直し、適正な勤務時間管理に努めたい。また、各省担当者で構成する「超過勤務縮減対策連絡会議」への協力をはかり、実務面でも各府省に徹底していく。
 なお、多様な勤務形態に関して人事院の研究会から7月に中間取りまとめが示された。研究会の報告や民間の動向もふまえつつ、人事院と連携して対応をはかりたい。
●公務員制度改革は、内閣官房行革推進事務局で作業をすすめており、その過程で、みなさんの意見を十分にうかがう。今後とも、公務員制度を所管する総務省として、行革推進事務局と連携、協力しながら対応をすすめていく。
●再任用制度にかかわっては、平成13年6月の「国家公務員高齢者雇用推進に関する方針」に沿って、高齢者雇用の推進を図っていくことが政府としての取り組みの基本だ。各府省が実績にもとづいて、再任用をすすめているが、総務省として、これらをフォローアップし、円滑な推進をはかっていく。
●男女平等の課題については、女性の採用・登用の基本計画にもとづいて、各府省で総合的・計画的な取り組みがすすめられている。また、育児休業・介護休暇などの取得の促進にむけては、人事院の「多様な勤務形態研究会」の提言も出されたが、それもふまえて、適切な対応をはかる。
●メンタルヘルス対策については、重要性を認識しているところであり、講習会を開くなどして職場の理解や知識の普及に務めてきたが、今後ともこうした努力をはかりたい。

使用者としての責任ある回答は最後まで聞けず

 これらの回答をうけて、若井事務局長は、「民間の賃金実態などからも、今年もマイナス勧告の可能性が考えられるもとで、その場合には、どう対応するのか。勧告がマイナスでも、給与水準を引き下げないように努力するのかどうかが使用者として問われている」として、総務省の姿勢をただしました。
 酒田総括補佐は、「勧告の内容は重大な関心を持っているが、現時点では情報もないので、どのように対応するのかは申し上げられない。専門・中立の機関である人事院の勧告をふまえて検討することが基本だ」などと回答したことから、「それでは、安んじて職務に専念できるように適正な給与水準を確保するとの回答はタテマエに過ぎなくなる」と追及しました。しかし、「勧告が出れば、給与関係閣僚会議で検討し、取り扱いについて政府としての結論を示す」とのべ、あくまでも「勧告待ち」の姿勢をとりつづけました。
 また、若井事務局長は、「地域給についても、ブロック別給与などを言いだしたのは、小泉首相だ。骨太の方針でも、地域別給与を人事院に求めている。それなのに、総務省としては発言を差し控えるという回答は納得できない。受け身の立場ではなく、人事院に対して使用者として、われわれの要求もふまえてものを言うべきだ」と求めましたが、酒田総括補佐は、「給与制度の専門機関である人事院が作業をすすめているところであり、それを見て対応したい。総務省としてのアクションは考えていない」と、これも人事院の検討待ちの態度を崩さず、納得できる回答は聞かれませんでした。
 その他、「公務員制度改革」にかかわって、連合との「政労協議」が開始されるもとで、全労連闘争本部と関係大臣との交渉・協議の場も実現していないことにふれ、ILO勧告もふまえて連合との差別的な扱いをしないように求めたことに対して、酒田総括補佐は、「みなさんの意見は、行革推進事務局へ伝える」と回答しました。
 これらの回答をうけて、石元議長は、「明日は、公務労組連絡会として中央行動を配置し、要求実現を求めて全国から組合員が結集する。今年こそは、マイナスを阻止したいと仲間たちの要求は切実だ。勧告後にあらためて交渉を持つこととし、誠意ある回答にむけてさらなる検討を求める」と最後にのべ、交渉を締めくくりました。
以 上