No.429
2003年9月29日
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韓国公務労組を訪問、不屈のたたかいを激励
=公務3単産が初の「交流団」派遣、国際連帯の輪をひろげる=
 国公労連・全教・自治労連の公務3単産と公務労組連絡会は、役員の逮捕・拘束など激しい弾圧が加えられている韓国の公務労働組合のたたかいの激励などを目的に、9月23日から26日まで「韓国公務労組交流団」を派遣しました。
 この行動は、今年5月の韓国労働社会研究所(KLSI)の国公労連訪問をきっかけに、相互の交流をより深めようと日本からの交流団派遣の具体化がすすめられていたもので、KLSIの協力で3つの公務労働組合への訪問が実現しました。
 交流団は、全教の新堰義昭副委員長を団長とし、国公労連・小田川義和書記長、自治労連・島村みき子副委員長、公務労組連絡会から黒田事務局次長が参加しました。

韓国公務員労働組合(KGEU)の仲間を激励する交流団
労働基本権など韓国の公務員制度を聞き取り調査
 今回がはじめてとなる韓国訪問は、公務員の団結権さえ制約されているもとで不屈のたたかいをつづける公務員労働組合を激励し、あわせて、韓国の公務員制度や賃金・労働条件を聞き取り調査し、お互いに理解を深め合うことにおもな目的がありました。
 移動日をのぞけば、わずが2日間の日程でしたが、4つの労働組合・団体とそれぞれ2時間以上にわたって意見交換するなど充実した行動となりました。
 24日午前に訪問した韓国労働社会研究所(KLSI)では、5月に来日したイ・ウォンボ所長が、面識のある国公労連の小田川書記長を笑顔で出迎え、一行を歓迎しました。
 新堰全教副委員長が、交流団を代表してあいさつし、はじめに過日の台風14号で各地に大きな被害が出たことを見舞いつつ、「韓国の公務員労働者が、当局からの妨害・弾圧を受けながらも果敢にたたかっていることに敬意を表し、心から激励する。日本では公務員制度の『改革』がすすめられ、政府へのILO勧告も出された。おたがいのたたかいの現状、今後の課題などに交流を深めたい」と訪問の目的を伝えました。
 イ・ウォンボ所長のほか、ユン・ヒョウォン事務局長らが同席し、KLSIの組織概要や韓国の労働組合・労働者の現状、最近の労働事情などについて実態を聞きました。
 そのなかで、韓国の労働者の最低賃金がわずか時給2,200ウォン(200円)程度に抑えられ、生活苦による自殺が後をたたないことなどが報告され、また、非正規労働者が公共部門で26%、金融では50%を占めており、非正規労働者の賃金・労働条件改善に、行政も労働組合も力をいれていることが紹介されました。
 日本と同様に、「現代自動車」など大企業を中心に成果主義賃金がひろがっており、「韓国の企業は、日本の悪いところばかり学んで、利用している」との指摘もありました。公務員労働者にかかわっては、労働基本権問題をはじめ、民営化政策や行政民主化の運動などについて意見交換しました。
弾圧はね返す公務労働組合の熱いたたかいに触れる
 24日午後からは、鉄道、電力、通信、ガスなど公共部門の労働組合が加盟する韓国公共労組連盟(KPSU)を訪問しました。
 13万3千人の組合員のうち約2万人が公務員で、労働三権保障を求めてたたかっていること、4つの地方連盟があることなどをキム・テヂン副委員長らから聞きました。
 国民生活と密着した公共部門の拡充を求めて、制度・政策要求を中心に政府に実現をせまり、国民世論の拡大へ「全国縦断パレード」や「100万人署名」をとりくんでいることが紹介されました。また、98年以降に約6万人の公務員が減らされ、鉄道の民営化を手始めに、電力、ガスの民営化もねらわれているなど、日本と似かよった「減量化」攻撃がすすんでいる実態が明らかになりました。
 女性役員のミン・ギルスク連帯事業局長からは、女性の組合員や役員がなかなか増えないと言う、これも日本と同じような悩みも語られました。
 翌25日は、午前中に韓国公務員労働組合(KGEU)、午後からは全国教職員労働組合(全教組)を訪問しました。KGEUは、2002年3月に結成大会を開いた際、会場に官憲が突入し、委員長が逮捕されながらも、今日までストライキを組織するなど不屈のたたかいをつづけ、現在、13万人の国・地方公務員を組織するまでになっています。
 ノ・ミョンウ委員長は、「日本と韓国の違いや共通性を理解することが大切だ。今回の交流で成果を残したい」と歓迎の言葉がのべられました。
 韓国では、公務員の団結権が制約され、労働組合は非合法とされています。昨年11月にストライキを配置したときは、大勢の警察官が組合本部のあるビルを取り囲み、事務局に強行突入して、パソコンまで奪っていったとのことでした。
 だからこそ、労働基本権保障の要求は何にも増して切実です。意見交換では、韓国政府が制定をねらっている「公務員組合法」の問題点や、国民と共同してたたかうという運動の方向なども紹介され、これに応えて、小田川書記長が、日本政府に対するILO勧告など「公務員制度改革」をめぐるたたかいを伝えるなど、有意義な交流ができました。
 最後に訪問した全教組では、教員の賃金・労働条件をはじめ、教育問題について意見交換しました。ウォン・ヨンマン委員長からは、全教組が教育の平等性や公共性を確保するためたたかっていることがのべられました。
 とりわけ、教育行政情報システム導入に反対するたたかいでは、委員長が逮捕される事態におよぶもとで、新堰副委員長から、全教として、不当な弾圧への「抗議文」を韓国政府に送ったことが報告され、連帯してたたかう決意がのべられました。
 今回訪問した3つの労働組合に対しては、各単産でそれぞれ寄せ書きをした「檄布」を手渡し、韓国・日本の連帯したたたかいを誓い合いました。
以 上