No.414
2003年7月31日
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3,500人が人事院を完全包囲!
= 「マイナス勧告」は絶対許さないと、第3次中央行動を展開 =
 公務労組連絡会は31日、全労連・春闘共闘と共同し、夏季闘争における「第3次中央行動」にとりくみました。
 中央行動では、29日から連日たたかわれてきた人事院前の座り込み行動と連結させ、大規模な人事院への要求行動、各省へのいっせい要求行動など「霞が関総行動」を展開、総決起集会で「マイナス勧告」阻止への決意を固めあい、銀座パレード(デモ)で道往く人々に「賃下げの悪循環をくい止めよう!」とアピールしました。
 貸し切りバスで上京した宮城・長野をはじめ全国から公務・民間あわせて3,500人が参加、夏季闘争の節目にふさわしい大行動となりました。
霞が関官庁街にとどろく怒りのシュプレ
  午前中で終わった座り込み行動を引き継ぎ、人事院前では、大勢の仲間がつめかけるなか、12時すぎから要求行動がはじまりました。うっとおしい雨の日が続く毎日でしたが、この日は青空ものぞき、やっと照りつける夏の日差しが帰ってきました。
 主催者あいさつした公務労組連絡会石元議長は、「本俸・手当・一時金のトリプル削減の最悪勧告は断じて許さない。これでは、国民生活悪化の悪循環になる。こうしたなか、7・9中央行動に見られるように、公務・民間の共同がひろがっている。そのことを確信に、最後の最後までたたかいぬいて、自分たちの手で情勢を変えよう」と力強く訴えました。
 民間組合を代表して激励にかけつけたJMIUの生熊委員長は、「千葉労連の『最賃生活体験』のとりくみでは、最低賃金では生活できないことがはっきりした。最賃据え置き答申がだされ、このうえマイナス人勧では、生活悪化はますます深刻になる。労働法制改悪反対のたたかいでは、世論とともにたたかえば要求は前進することを証明した。民間労組もともにたたかう」とエールを送りました。
 その後の情勢報告では、この間の人事院との交渉内容を中心に、国公労連の小田川書記長が勧告をめぐる最新の情報を報告しました。小田川書記長は、「各種手当の削減など、『在庫一掃セール』ともいえる改悪だ。マイナスの調査結果が出たから下げるのでは、もはや『代償措置』とは言えない。脱法行為の賃下げ遡及は、何回くり返しても、脱法行為だ。最後の最後まで、ねばりづよく、愚直に、要求実現へたたかおう」と呼びかけました。
 各単産の決意表明では、「40度以上のプレハブの中で学童保育に奮闘している仲間がいる。人事院は、クーラーの利いた部屋で電卓たたいて、勝手な賃下げの数字をつくるな!たとえマイナス勧告がでても、それをはね返す秋のたたかいに全力あげる」(大阪自治労連・先山さん)、「新指導要綱により、押しつけ授業や研修がすすみ、本来の教育ができず下請けになっている。教員の長時間勤務の解消は急務だ。民間賃金がきびしいと言うが、生産性が上がっているなかで、理屈の通らない賃下げがくり返されている。人事院は、当たり前の算数がわからないのか!」(富山高教組・堀内さん)など、怒りの言葉が次々と人事院にぶつけられました。
 こうした発言がつづくなかも、ぞくぞくと仲間たちが各地から到着し、人事院前は、通りをはさんだ日比谷公園前の歩道もふくめて、行動参加者であふれました。
 人事院を包囲した仲間の思いを一つにして、国公労連・井上さんの発声でシュプレヒコールを人事院にぶつけ、人事院前の大要求行動を閉じました。
 その後、行動参加者は、人事院・総務省・財務省・文部科学省に分かれて、各省に対するいっせいの要求行動に移りました。
地元商店会も公務員の賃下げに反対している
 人事院前行動(パート2)では、主催者を代表して堀口副議長(国公労連委員長)は、「いま問われているのは、人事院が小泉構造改革の国民生活犠牲、賃金抑制政策に迎合するのか、公務労働者をはじめとする働くものの利益擁護の立場に立つのかだ。人事院は公務労働者の生活と労働の実態を直視すると同時に、社会的責任を果たすべきだ」とあいさつしました。
 連帯あいさつで全農協労連の老田委員長は、「農協関連で働く仲間は人勧準拠だ。マイナス勧告が出されると大きな悪影響が出る。みずからの問題として、公務のみなさんとしっかりスクラムを組み、マイナス勧告阻止へがんばりたい」とのべました。
 その後、国公労連の職場代表の決意表明では、「人事院の地域給研究会は、地方の公務員は民間より賃金が高いことを問題にしているが、地方には下請け零細企業が多く、長期不況による工場閉鎖やリストラが吹き荒れている。地域経済にさらなる打撃を与える地方の公務員給与の改悪を許さないたたかいをすすめたい」(全気象東北地本・佐々木さん)、「全国キャラバン行動の要請で自治体に何度も足を運び53自治体で民主的公務員制度の確立を求める請願採択を勝ち取った。通常国会で公務員制度改悪を断念させたように、国民共同を広げてマイナス勧告も断念させよう」(全建労長野国道支部・戸沢さん)、「29日から連日座り込みに参加した。年々業務量が増大し複雑困難性が増している中で、職場の仲間は、行政サービスを低下させまいと懸命にがんばっている。仲間の生活を守るため総力をあげてたたかう」(全労働本部・高木さん)、「マイナス勧告阻止へ共同が大きく広がっている。県国公独自に商工会議所や商店会にも要請したところ、公務員賃下げは商売に大打撃を与え、地域経済をさらに落ち込ませるので絶対反対だという声も出された」(愛知県国公・花岡さん)、「『国公権利裁判』をたたかっている。近畿では28人の原告を先頭に春から街頭宣伝行動を重ね、最賃引き上げの課題と結びつけて発展させてきた。正義は我にあり!断固たたかおう」(国公近畿ブロック・滝口さん)など、職場のたたかいに裏付けられた力強い発言がつづきました。

●賃金改善署名28万4千筆を人事院へ提出

 13時から岸田幹事を先頭にした要請団が、6月からとりくんできた「賃金改善署名」を人事院に提出しました。
 要請行動には、全教山口書記次長、大阪自治労連先山書記長、国公九州ブロック伊藤事務局長が参加し、「マイナス人勧」は断じて許さないとの切実な思いをこめて、集約した署名第2次提出分226,954筆(合計283,807筆)を人事院へ提出しました。
地方切り捨ての「三位一体の改革」を打ち砕こう
 財務省前前要求行動では主催者あいさつにたった国公労連・山瀬副委員長は、「地方切り捨ての三位一体改革、義務教育費の国庫負担金の大幅削減、社会保障の圧縮など、財務省は、国民生活関連予算を削減を示している。また、国家公務員の諸手当については、財務大臣がその改廃を明言している。労働条件予算の拡充、独立行政法人での自主性・自律性の確保、国民本位の民主的財政の確立のためたたかおう」とのべました。
 連帯あいさつで全信労・貝之瀬副委員長は「中小企業の多くで融資を受けられず、倒産に追い込まれるという事態がおきている。日本の多くの労働者が働いている中小企業を、国としてしっかりと支援し、倒産による失業者をなくすことが必要。不況を打ち破るため、賃金を引き上げ、国民の購買力を高めよう」と激励しました。
 決意表明では、「裁判所の予算は国家予算のわずか0.39%、裁判官はいつも200〜300件の事案を抱え、職員・施設が不足している。「司法制度改革」が進められるなか私たちは、時間や費用がかからず、国民が利用しやすい裁判制度を求めるとともに、そのための適正な予算配分を求める。」(全司法本部・藤原さん)、「全国9税関には、約8,000人の職員が働いている。毎年約600人の職員が人事異動で転勤となり、大体が単身赴任となる。金銭的にも困難が多く、調整手当の異動保障がなければ人事異動も難しくなる。水際での取り締まりを強化するためにも、異動保障の改悪を阻止しよう」(全税関本部・古木名さん)、「ただ働き残業が横行している。職員に働かせておいて、金を使用者が払わない、これは明らかな犯罪だ。全運輸も、マイナス勧告阻止、要員の確保など身近な要求と国民的課題とで、精一杯奮闘する」(全運輸本部・宮垣さん)、「小泉首相の登場以来、特殊法人改革がすすめられてきた。セーフティネットとして、特殊法人事業が必要にもかかわらず、その役割を抹殺しようとしている。また、賃下げ勧告は私たち特殊法人の職員にも直接影響する。ともにたたかおう。」(特殊法人労連・竹内さん)などの発言をうけ、最後に国公労連・後藤中執が「労働条件予算を拡充せよ」「地方切り捨ての三位一体の改革反対」「使用費税大増税反対」と財務省にシュプレヒコールをぶっけました。
突然の合併協議〜市町村合併の押しつけに反対する
 総務省前行動では、松本幹事の司会進行のもと主催者あいさつした駒場副議長(自治労連委員長)は、「夏季要求でこの間3回交渉協議をしてきたが、人勧を維持尊重するとの回答を繰り返しているが、今年の人勧も昨年を上回るマイナス勧告が想定されている。総務省は使用者としての責任をはたせ」とのべました。
 連帯あいさつした東京公務公共一般の志田書記次長は、「東京の自治体で働く臨時、パートなどでつくっている組合だが、公務員賃金が下がると我々も影響がでてくる。時給900円前後年収200万にしかならない人たちがたくさんいる。厚生労働省の指針では正規とパートの格差はあってはならない。マイナス人勧とも結合して力の限りたたかおう」と激励しました。
 決意表明では「自治労連では市町村合併の問題に取りくんでいるところだが、岡崎市で3月には話題にもなっていなかったが、額田郡との合併協議に入ってきた。愛知・飛島村では合併しませんと宣言している。一方的な市町村合併の押し付けはやめよ」(自治労連愛知県本部・福田さん)、「郵政公社当局が賃下げをねらうもと、6月17日にマイナスの仲裁裁定が出された。明日からマイナス配分交渉に入るが、事業をどれひとつとってもマイナス勧告を出す状況にない。賃金の悪循環をたちきるために奮闘する」(郵産労委員長・田中さん)、「本日地方から上京団を上げている。度重なる賃下げ勧告でどこに怒りをぶつけてよいのか。総務省・政府はきちんと対応してほしいと切に願う。公務員制度改革にたいしては断固たたかう決意だ」(国公労連全通信中国支部・唐内さん)などの発言がありました。
教育基本法改悪反対、子どもたちが主人公になる教育を
 全教・教組共闘が主体となった文部科学省前の要求行動では、石元公務労組連議長(全教委員長)が主催あいさつし、「『マイナス勧告』がねらわれるもと、文部科学省は使用者としての責任を果たすよう強く求める。有事法制・イラク特措法が成立し、教育基本法改悪がねらわれている。基本法改悪のねらいが、戦争する国を支える人づくりにあることがいよいよはっきりしてきた。子どもが主人公になる教育をつくろう」と訴えました。
 激励・連帯あいさつとして、出版労連・教科書共闘の吉田事務局長は、「義務教育予算削減で、教科書の予算も0.6%引き下げられ、それが教科書出版社のリストラや賃下げにつながっている。だから、『マイナス勧告』反対の要求は一致する。出版労連は、教育基本法改悪を阻止するため、スト権を高率で確立した。みなさんとともにたたかう」とのべました。
 職場からの決意表明では、都教組の八澤副委員長が「東京都の教育委員会は、『卒業・入学式対策部』がつくられ、日の丸の掲揚場所までチェックしている。学校現場に土足で踏み込み、不当に介入してくる攻撃にたちむかってたたかっている」などの実態が報告され、たたかう決意が示されました。
 文部科学省前行動の最後に、全教本部の中山中執の発声で、シュプレヒコールをくり返しました。
国公宣隊「訴えたんジャー」が東京で大暴れ
 各省への要求行動を終えた参加者は、日比谷野外音楽堂での「夏季要求実現7・31総決起集会」の会場に集合しました。
 会場では、デキシージャズバンド「デキシーランブラーズ」の軽やかな演奏が仲間たちを出迎え、14時すぎから決起集会が始まりました。
 主催者を代表して全労連大木副議長(全労連・全国一般委員長)は、「今春闘では、財界は、本格的に賃下げのアクセルを踏み込んだ。そうした攻撃をはね返そうと、公務のみなさんは、最賃闘争と人勧闘争を結びつけるまさに画期的なたたかいをすすめた」と仲間たちの奮闘に敬意を表し、国民共同の運動の発展を強調しつつ、「弱肉強食の社会ではなく、人間を大切にする社会をめざしてがんばろう」とあいさつしました。
 激励にかけつけた農民連の笹渡事務局長からは、「『マイナス勧告』は全国民に対する攻撃であり、農民にとっても重大だ。小泉内閣の『コメ改革』は、農民を40万人にリストラする究極のコメつぶしが目的だ。小泉改革の本質がいよいよ明確になるもと、マイナス勧告阻止と国政転換のたたかいとを結んでがんばろう」と力強い連帯のあいさつがありました。
 若井公務労組事務局長の闘争報告では、夏季闘争の到達点や、「公務員制度改革」関連法案の国会提出を阻止したたたかいなどが報告され、「歴史をきりひらく壮大なたたかいをつくりだしてきた。その到達点に立って、最後の瞬間までたたかいぬこう」と呼びかけました。
 決起集会の「目玉」は、公務各単産が練りに練った「パフォーマンス」でした。トップバッターの国公労連は、青・赤・緑・黄・ピンクの「宣伝強化スーツ」で身を包んだ「訴えたんジャー」の5人(実は、兵庫県国公の仲間)を舞台に登場させ、「やる気なしシャワー」で団結する意欲やたたかう意思をなくそうとたくらむ悪人「ゼニソン(銭損?)」をコテンパンに退治するという寸劇を披露しました。
 「総対話ウエーブ」「署名クラッシュ」「大運動アタック」「街頭宣伝キック」「創意と工夫のダブルパンチ」と、訴えたんジャーの繰り出す技は、どれもいたってマジメなものばかりなのに、会場は爆笑の連続でした。
 2番手の全教は、「フニクリフニクラ」の替え歌で、「マイナス人勧は許さない」を合唱しました。「♪公務も民間も、人事院へ怒りをとどけましょう」とリズムに合わせて呼びかけました。
 その後、民間を代表して、東京と首都圏の県労連代表が「1分間発言」し、そのなかで、神奈川の706分のハンガーストライキや、「朝日」新聞でも報道された千葉労連の最賃生活体験などが紹介されました。
 最後は、自治労連の仲間が横断幕やノボリ旗をかかげて舞台のうえに整列し、松本中執が代表して、自治労連がとりくんだ「意見書広告」の反響などについて報告し、たたかう決意をのべました。
 シュプレヒコールでは、国公労連が用意した「ジェット風船」(阪神タイガースの応援グッズ)を片手に、自治労連佐藤中執の発声で元気よく声を上げ、最後に石元公務労組議長の閉会あいさつと団結ガンバロウでしめくくり、参加者は、「デキシーランブラーズ」を先頭に、銀座パレードへと出発しました。
 銀座パレードでは、夏休みで子どもたちも多く、そのなかをビラを配りながら歩く「訴えたんジャー」の姿はひときわ目を引きました。
 29日からの座り込み行動をふくめて、中央行動に参加されたたくさんの仲間のみなさん、奮闘ごくろうさまでした。職場や地域に帰って、最後の最後までがんばりましょう。
以 上