No.381
2003年3月3日
公務労組連絡会FAXニュース
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「利益擁護機関」としての役割を果たせ
= 「3・4中央行動」を前に春闘要求で人事院と交渉 =
 民間・公務の仲間が総結集する「3・4中央行動」を前に、公務労組連絡会は3日、賃金・労働条件改善を求めて人事院と交渉しました。
 この日の交渉は、2月14日に提出した「2003年春闘要求書」にかかわって、人事院としての現時点での回答を求めたもので、「12,000円以上、誰でも10,000円」の賃上げなど切実な要求の実現をせまりました。
 アンケートにも示されたきびしい生活実態を具体的に示し、公務労働者の積極的な賃上げを求めたことに対して、人事院は、従来どおりの「民間賃金の正確な把握」とする姿勢に終始しました。
賃金改善・労働時間短縮・民主的公務員制度など求める
 交渉には、駒場議長を先頭に、若井副議長、浜島事務局長、黒田・高坂両事務局次長、吉田幹事、松本幹事、先水幹事が出席し、人事院からは、勤務条件局の和田課長補佐、箕浦課長補佐が対応しました。
 はじめに駒場議長は、「昨年の勧告は本俸がマイナスとなり、4月に遡及して実施された。労働基本権制約の『代償措置』としての人事院勧告制度のあり方そのものが大きな問題となったが、春闘期の交渉にあたって、あらためて公務員労働者の利益擁護機関としての人事院の責務を果たすよう強く求める。また、政府の『公務員制度改革』が重要局面をむかえるもと、憲法とILO勧告にそった制度実現にむけ、中央人事行政機関としての役割発揮を求めたい。明日は、今春闘最大規模の中央行動が官民共同でとりくまれる。民間労働者のなかにも、公務員賃金の改善を求める声がひろがっている。そうした声も代表して、提出した要求の実現を求める」と発言しました。
 つづいて浜島事務局長が、要求書のポイントとして次の点を強調し、現時点での人事院の考え方を示すよう求めました。
○春闘アンケートの結果は、63.7%が「生活苦しい」と回答している。賃上げ要求額の「2/3ライン」が、公務全体では13,000円を超えていることからも、「12,000円以上」は、ひかえめでギリギリの要求額だ。これらをふまえ、民間準拠にとどまらず、生計費にもとづいた賃上げこそ必要だ。
○非常勤職員の賃金は、人事院は、これまで直接には責任がないとの立場をとってきた。常勤・非常勤の違いなく、職員の労働条件改善は、公務サービスの維持とも深くかかわっている。非常勤職員の賃金実態を把握しつつ、時給1,000円以上への賃上げを求める。
○一時金、諸手当の改善を求める。4月から医療費の負担増がひかえているもとで、扶養手当の支給範囲の拡大などの改善を求める。
○公務員給与の地域間格差見直しは、人事院の研究会で検討されていると承知している。その報告がまとめられる時期に、あらためて公務労組連絡会としての意見をのべたい。
○労働時間短縮については、アンケートでも「残業なし」との回答が約2%減っている。学校では、昨年4月から週5日制になったが、逆に仕事がきつくなったとの声も全教のアンケートでは多く見られる。超過勤務の縮減にむけ、人事院として努力せよ。
○「公務員制度改革」がすすめられるもと、公正・中立な制度の確立が重要だ。昨年の勧告の際における「報告」では、労働基本権制約の「代償措置」としての勧告制度の重要性をのべているが、ILO勧告にそって労働基本権の確立こそ求められている。
公務員給与の地域間格差「見直し」へ近々意見を取りまとめ
  これに対し、和田課長補佐は、「最終回答まで検討をすすめることとし、現時点で申し上げられることだけのべたい」とことわりつつ、以下の回答を示しました。
●民間賃金の動向は依然としてきびしく、「ベア要求なし」の組合が昨年よりも多いことや、定期昇給制度の見直しなども報道されている。その一方で、日産での「満額回答」もあった。3月半ばの民間の妥結に注目したい。民間給与の正確な実態把握をすすめ、社会・経済状況、労働組合の要望、各方面からの意見などをふまえつつ、勧告制度の役割を果たすため、適切な給与水準の確定に努力する。
●地域に勤務する公務員給与水準については、一昨年の勧告で見直しを表明し、学識経験者による研究会を立ち上げ、現在まで10回の会合を持ち、各方面からも意見を聴取してきた。近日中に「中間整理」(人事院のホームページ参照)を公表し、春には意見をまとめることとなっている。それをうけて、人事院としての具体的施策の検討をすすめる。
●非常勤職員は、公務・民間ともに比率が高くなり、職種も多様化している。民間でも、労働条件改善は課題であり、厚生労働省を中心に検討がすすめられている。人事院勧告の報告でも言及してきたが、規定の整備にむけて、民間実態を把握しつつ、関係各省との調整をすすめたい。

 また、休暇制度、労働時間などにかかわって、箕浦課長補佐が次のとおり回答しました。
●超過勤務縮減は懸案事項となっており、政府でも昨年から「超過勤務縮減連絡会議」を立ち上げ、人事院もその一員となって協力してきた。「公務員制度改革大綱」の重点ともなり、いっそう関心が強まっており、各省とも本気でとりくんでいる。人事院として、管理者むけの「チェックシート」を各省に配布し、活用を要請してきたところだが、今後とも、いっそうの努力をはかる。
●男性の育児休業取得の促進は、職員の意識変革、管理者の理解、制度の周知徹底、勤務環境の整備などが必要だ。今後とも、職場へのPRなどをすすめたい。また、男女平等にむけ、女性の採用・登用は着実にすすんでいるが、総合的な対策を検討していきたい。
●健康・安全確保では、「メンタルヘルス相談室」を人事院本院と地方事務局に設置した。人事院だけでなく、各省でも相談者が配置できるよう、担当者養成の講習会を、昨年、今年と実施してきた。そうしたすそ野をひろげるよう努力している。
「民間賃金の正確な把握」だけの回答は認められない
 以上の中間的な回答をうけて、駒場議長は、「最終回答まで引き続き交渉していくこととなるが、『民間の実態を正確に把握したうえで対応』とする回答は容認できないものだ。『マイナス勧告』によって、それ以前とは違い、『代償措置』としての人事院勧告制度が根底からくずれてきている。民間給与と比較すれば、今年もマイナスになる可能性があり、人事院勧告制度の役割と照らし合わせて重大だ。労働基本権が制約されているもとで、いつまでも、民間給与把握という態度は認められない。人事院として、交渉ルールの改善をふくめ、誠意ある回答にむけて、引き続き検討を求める」とのべ、交渉を閉じました。
以 上