No.371
2002年12月9日
公務労組連絡会FAXニュース
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退職手当「6%引き下げ」を提示
= 来年10月からの実施、1年間の経過措置も検討 =
 公務労組連絡会は9日、退職手当の「見直し」にかかわって総務省と交渉しました。
 交渉では、退職手当の調整率を現行の100分の110から100分の104へ引き下げるなどとした見直し案が提示されました。また、実施時期を来年10月からとすることや、1年間の経過措置も示されました。総務省は、この案にもとづいて労働組合などから意見をうけ、来週にも決定したいとしています。
 公務労組連絡会は、あらためて引き下げ反対の態度を明らかにするとともに、職員の生活に直結する問題として、労働組合との十分な交渉・協議を強く求めました。
 また、交渉では、これまでとりくんできた「退職手当削減反対署名」約2万5千筆(国公労連の提出分をのぞく)を提出しました。
予算案反映のため来週前半には決定
 交渉には、公務労組連絡会からは、浜島事務局長、高坂・黒田両事務局次長、大橋幹事が参加、総務省は、人事・恩給局の柿原参事官補佐、宮島参事官補佐ほかが対応しました。
 はじめに、今回の退職手当の見直し案の内容が以下の通り提示されました。
●民間実態調査にもとづき、官民の均衡をはかる立場から国家公務員の退職手当を引き下げる。その内容は、退職手当法の附則第21項(*注)に規定されている調整率(勤続20年以上35年以下が対象)を、現行の110/100から6/100引き下げて104/100とする。
●2003年10月1日から実施し、最初の1年間は3/100だけ引き下げて、107/100とする。2004年10月1日から、さらに3/100引き下げて104/100にする経過措置をとる。
●指定職への早期退職特例措置を見直し、1)指定職9号俸相当額以上は、現行の割り増し措置を適用しない、2)指定職7号俸相当額以上は、1年あたりの割増率を現行の2%から1%にする。検察官、裁判官についても同様とし、改正法成立後、すみやかに実施する。
●特殊法人等への役員出向制度の導入にともない規定の整備を行う。国への復帰を前提として、国家公務員を退職して特殊法人・独立行政法人の役員に就任した者は、法人では退職金を支払わず、国への復帰後の退職時に国家公務員としての退職手当を1回だけ支払う。「公務員制度改革大綱」に盛り込まれた施策を具体化したものであり、改正法成立後、すみやかに実施する。
●今後の手続きについては、早期に方針を決定し、2003年度予算案への反映もふくめて諸準備をすすめるため、来週前半には、国家公務員の退職手当の改訂方針を公表したい。職員のみなさんには重要な問題であることは理解する。職員団体の意見を十分聞いてきたが、国民の声など取り巻く情勢のきびしさもある。理解いただきたい。
(*注)退職手当法附則21項
 当分の間、20年以上35年以下の期間勤続して退職した者に対する退職手当の額は、第6条の規定にかかわらず、第3条から第5条の2までの規定により計算した額にそれぞれ100分の110を乗じて得た額とする。
高級官僚優遇放置で「国民の声」に応えたのか
  この提案に対して、浜島事務局長は、「十分意見を聞いてきたと言っても、具体的な見直し案の提示は今日がはじめてだ。それで来週前半に決定するとは、きわめて拙速であり重大だ。時間をかけて見直し案に対する職場からの意見を聞くべきだ」と、「原案」提示からわずか1週間で引き下げ方針をまとめようとしていることに強く反対しました。
 その上で、交渉団からは、「20年以上、行政の第一線で苦労して働いてきた一般職員まで全員一律の引き下げに反対する。二言めには『国民の声』と言うが、国民の批判の声が集中しているのは、高級官僚に対する法外な退職手当にある。今回の見直しで、そうした批判の声に具体的にどう応えようとしているのか明らかにせよ」とただしました。
 柿原参事官補佐は、「指定職の早期退職特例措置の見直しで対応した。これによって約1千万円程度の退職手当が減額される場合もある」と回答しましたが、9千万円とも言われる桁外れの退職手当の抜本的な見直しになっていないだけでなく、定年までつとめあげ、「早期退職」しない高級官僚は、特例措置そのものからもはずれます。
 そのことを指摘されると、柿原参事官補佐は、「批判の声は十分に承知している。高級官僚の退職手当については、今回は一部分の見直しだが、現在、すすめられている公務員制度改革のなかで抜本的な見直しが行われるものと考える」とし、総務省みずからが繰り返す「国民の声」に正面から応えていないものであることを明らかにしました。
 また、総務省のすすめ方について、浜島事務局長は、「過日出されたILO勧告でも、労働組合との率直で意義のある交渉・協議の必要性が指摘されている。短時間で一方的に決めるやり方は、ILO勧告にも反する。労働組合との納得と合意のもとですすめるべきだ」と指摘し、来週前半の方針案決定は断じて容認できない姿勢をあらためて強調しました。
 浜島事務局長は最後に、「6%の引き下げは認められない。見直し案の再検討を求める」とのべ、交渉を終えました。
「退職手当削減反対署名」は早急に集約を
 交渉のなかでも指摘したように、高級官僚への優遇を放置したまま、一般職員へ一律削減する退職手当引き下げ案は、断じて認められるものではありません。
 また、9月20日の民間実態調査の公表から3か月近く経ってから、見直しの具体案をようやく提示し、約1週間後には方針をとりまとめようとする、交渉・協議のルールを無視した総務省のやり方も、とうてい容認することはできません。
 秋季年末闘争の重点課題としてとりくみをすすめてきた退職手当削減反対のたたかいは、いよいよ重大な局面をむかえています。国家公務員の退職手当の削減は、地方自治体職員や教員に直接影響することから、公務労組連絡会全体のたたかいが重要となっています。
 そのことから、現在とりくみをすすめている「退職手当改悪反対署名」を職場から集めきり、総務省に「見直し案」の撤回を求めていくことが緊急に求められます。
以 上