No.345
2002年9月27日
公務労組連絡会FAXニュース
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「賃下げ勧告」実施の閣議決定を強行
= 退職手当の見直しへ通常国会に法案を提出 =
 小泉内閣は27日、2002年人事院勧告の「完全実施」を閣議決定しました。また、閣議では、国家公務員の退職手当の見直しにむけて、来年の通常国会に法案を提出することも決定されました。
 公務労組連絡会は、26日の総務省交渉において、本俸引き下げを4月に遡及して実施する「賃下げ勧告」を閣議決定しないよう強く求めてきたところですが、こうした要求に何ら応えることなく、「勧告制度の尊重」に固執し、政府が閣議決定を強行したことは重大です。
 公務労組連絡会は、人事院勧告の実施、退職手当見直し方針の強行決定にあたり、これに抗議する「幹事会声明」を発表しました。
 今後、給与法「改正」法案をめぐって、たたかいの場は国会に移りますが、「声明」でも明らかにされているように、この秋のたたかいでは、労働基本権の回復など民主的公務員制度の実現を求める「200万署名」の目標達成にむけ、「対話と共同」を職場・地域からひろげていくことがますます重要となっています。
 
2002年人勧等の閣議決定に対する抗議声明
1.政府は、本日開いた第2回給与関係閣僚会議とその後の閣議で、2002年人事院勧告の「完全実施」を決定した。閣議では、国家公務員退職手当の見直し方針も決定した。
 これらの決定は、将来にむけて公務員労働者の生活を大幅に後退させるのみならず、民間労働者の賃金削減や、年金カットなど広範な国民生活の切り下げに連動するものであり、断じて認めることはできない。政府が、「勧告制度の尊重」とする従来通りの姿勢に固執し、閣議決定を強行したことに怒りをもって抗議するものである。

2.8月8日に出された2002年人勧は、マイナス2.03%(7,770円)の官民較差にもとづいて、本俸を切り下げるとともに、一時金の 0.05月引き下げなどを主な内容とし、年収で平均15万円もの減収となる制度史上最悪の勧告であり、到底容認できるものではなかった。
 このため、公務労組連絡会は、勧告当日に政府・総務省と厚生労働省、8月20日には財務省にそれぞれ要求書を提出し、本俸引き下げの人勧実施反対、自治体や特殊法人の賃金決定への介入・干渉の中止、給与改善費の当初予算への計上などの要求実現を強く迫ってきた。また、職場からは、要求決議・打電・ハガキ行動、要求署名などのたたかいをすすめてきた。

3.しかし小泉内閣は、公務労働者の切実な声に背をむけ、「人勧完全実施」を閣議決定し、臨時国会への法案提出を表明した。賃下げ給与法は、公務員労働者の労働基本権制約の「代償性」を欠いた勧告を肯定するばかりか、「不利益不遡及」の原則を踏み破り、賃下げを4月遡及実施するための「調整措置」を盛り込んだ極めて不法性の高いものである。これらが強行されると民間への影響を含めて、今後、矛盾は一層ひろがざるを得ない。
 退職手当の見直しについても、削減の内容や実施時期・方法について労働組合との協議もなく、法案の提出時期のみを閣議決定する「はじめに削減ありき」のやり方には断固反対するものである。いま政府がやるべきことは、国民批判が集中している高級官僚の法外な退職手当見直しであり、「天下り」の禁止にむけた実効ある措置である。
 加えて、地方自治体に対して「国基準以下」への適性化措置とともに、「地域の実態を踏まえた」給与水準の見直しを求めていること、特殊法人の事業・組織形態の見直しによる「給与の適正化」、独立行政法人の国家公務員に準拠した給与水準に言及していることなどは、政府の不当な介入・干渉であり、断じて容認できるものではない。

4.公務員賃金削減が、小泉内閣の医療・介護・雇用保険改悪や年金給付カットなど3兆4200億円の国民負担増をはかる「構造改革」の口実とされていることは重大である。
 そのことから、われわれは、秋の全労連「全国網の目キャラバン」に積極的に参加し、「対話と共同」を地域からひろげ、小泉「構造改革」に反対する運動を強める。
 また、「賃下げ勧告」の実施を通して、あらためて公務員労働者の労働基本権剥奪の不当性が浮き彫りにされた。そのことから、能力・成果主義強化の人事管理の導入をはかり、「天下り」や特権的官僚システムの温存をねらう政府の「公務員制度改革」に反対し、「国民のための民主的公務員制度を求める請願署名」(200万署名)を組織の総力をあげてとりくみ、政府・与党を国民的世論で包囲し、公務員労働者の労働基本権回復など民主的公務員制度を確立するために全力をあげる決意である。

2002年9月27日
公務労組連絡会幹事会
以 上