No.342
2002年9月13日
公務労組連絡会FAXニュース
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「完全実施にむけた努力」との回答に終始
= 「賃下げ勧告」の実施反対で2度目の総務省交渉 =
 公務労組連絡会は13日、人事院勧告の取り扱いをめぐって、総務省交渉を実施しました。この日の交渉は、8月8日に総務省に要求書を提出して以来、2回目となるもので、勧告から約1月を経て、あらためて「マイナス勧告」の実施に反対し、使用者・政府の姿勢をきびしく追及しました。
 総務省側は、1回目の交渉と同様に、「人事院勧告を尊重施する」との回答をくりかえし、公務労働者の生活を後退させる賃下げ勧告の「完全実施」に固執する不当な姿勢に終始しました。
 
労働基本権制約の「代償措置」としての機能を果たしていない
  総務省交渉には、公務労組連絡会からは、浜島事務局長、黒田事務局次長、大橋美枝子幹事が参加しました。総務省は、人事・恩給局総務課の山石課長補佐ほかが対応しました。
 はじめに、浜島事務局長が、「先日の交渉でものべたが、今年の勧告は重大な問題を持っており、労働基本権制約の『代償措置』としての機能を果たしていない。その点から、政府として、『勧告尊重』というこれまで通りの立場であってはならない」とのべ、現段階での政府としての検討状況をただしました。
 これに対して、山石課長補佐は、以下のように回答しました。
 ・勧告の取り扱いについては、現在、政府として検討している最中だ。今後、給与関係閣僚会議が開かれて結論を出すこととなるが、人事院勧告尊重の姿勢には変わりない。国民の理解がえられる結論を得るため検討をすすめる。経済状況や財政事情がきびしいなかだが、労働基本権制約の代償措置としての勧告制度の役割をふまえて、完全実施に努力する。
 ・退職手当の見直しにかかわっては、先般、総務省として調査を実施し、現在、取りまとめ中だ。近日中には、実態調査の結果を明らかにし、退職手当の水準見直しについて検討をすすめる。その際は、官民の較差を正確に反映するよう作業をすすめる。
 ・労働基本権回復の要求については、先の「公務員制度改革大綱」でも、「これに代わる相応の措置を確保しつつ、現行の制約を維持」との閣議決定がされている。今後、「大綱」の法制化などは、総務省としても、内閣官房・行革推進事務局といっそう緊密な連携をはかっていきたい。
 ・公務員制度改革全般についても、「公務員制度改革大綱」にもとづいて、行革推進事務局との連携・協力をはかっていくが、その際には、職員団体の意見も十分にうかがっていく。
 ・給与改善費の予算計上の要求については、財政当局の所管であり、適切に判断されるものと思う。総務省としては、改善費計上の有無が、人事院勧告の実施に左右されるものではないと考える。

 浜島事務局長は、「従来通りの回答でありきわめて不満だ。政府が、公務員労働者の生活をどれだけ真剣に考え、使用者として判断するのかが重要だ。勧告が出ればそのまま『完全実施』で、使用者責任を果たしていると言えるのか。そもそも、その勧告も、一方的な賃下げであり、『代償措置』などとは言えるものではない。さらに、国・地方の公務員430万人の賃下げにより7千億円もの予算が削減され、そのことが景気をいっそう後退させる。際限のない悪循環だ。政府はそのことをどう考えているのか?」と追及しました。
 また、賃下げを4月にさかのぼって「減額調整」する不利益遡及について、大橋幹事は、「民間からも、これがやられたら大変だという声が出ている。自治体では、賃金カットした東京都でも、労使間の話し合いへの努力があった。一方的な賃下げ遡及は許されない」とのべ、総務省としての見解をただしました。
 山石課長補佐は、「情勢適応の原則があり、国民の見方などを総合的に勘案して決めていくのが総務省としての立場だ。景気への影響もふくめて、国政全般とのかかわりのなかで勧告の取り扱いが政府として検討されることとなる。また、給与引き下げ分の12月の期末手当での調整は、不利益不遡及の原則に沿ったものだと理解している。年間における均衡をはかるための措置であり、理解いただけるものと思っている」などと回答しました。
年間100万円もの負担!〜育児休業の所得保障を
  大橋幹事は、賃下げで生活が苦しくなっている状況もふまえつつ、昨年、3年間に延長された育児休業での所得保障について追及し、「1年経過後は、共済による所得保障がまったくなくなることから、たとえば36歳の教員で年間100万円近くの持ち出しとなる。子どもを育てたかったら自分で負担しなければならない。安心して育児休業がとれる制度の確立が必要だ」として、休業中の所得保障の実現を強く求めました。また、子どもの看護休暇について、「総務省からの通知もふまえ、全国の自治体で実施されている。ただし、診断書を求められたり、同居人がいる場合は取れないなど、実行段階でギクシャクしている部分もある。引き続き、総務省として、通知を出すなどして、取りやすい制度になるよう検討してほしい」と求めました。
 最後に、浜島事務局長は、「退職手当の見直しにかかわって、民間には退職金以外にもさまざま支給されているものがあり、民間実態を正確に反映した内容となるよう十分に留意すべき」とし、公正な調査結果の公表を求めつつ、勧告の取り扱いの閣議にむけて「民間賃金や年金の物価スライド凍結解除をはじめ、日本経済にも大きな影響をあたえるとの指摘もある。大げさでなく、勧告の取り扱いは日本の進路を決める問題だ。その点からも、短期間で軽々に判断するのではなく、じっくりと腰をすえて議論したうえで結論を出すよう求める」とのべ交渉を終えました。
以 上