No.340
2002年9月5日
公務労組連絡会FAXニュース
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退職手当の見直しへ総務省が調査概要を示す
= 今後、「官民較差」を公表して法案作成作業に着手 =
 小泉首相は、国家公務員の「退職手当10%削減」を指示し、現在、総務省が民間での支給実態調査をふまえた検討作業をすすめています。
 総人件費抑制という政府の基本方針にもとづき、高級官僚の法外な退職手当への国民批判も利用しながら、国・地方を問わず、すべての公務員労働者の退職金引き下げがねらわれています。
 こうしたなか、総務省は5日、公務労組連絡会との交渉で、現時点の検討状況を示すとして、「民間企業退職金実態調査の概要」を明らかにしてきました。今回示されたのは、調査方法のみで、注目される民間の退職金支給額については「精査中であり、近い時期に公表する」と明らかにしませんでした。
 総務省は、官民較差の公表後に法案作成作業に入りたいとしており、秋季年末闘争における重点課題として、使用者・政府に対する追及強化が求められています。
 
マスコミはじめ各方面から見直すべきとの声がある
 午後4時30分からの総務省との交渉には、公務労組連絡会からは、浜島事務局長を先頭に、黒田事務局次長、吉田幹事(全教)、自治労連・山田書記が参加しました。総務省側は、人事・恩給局の宮島参事官補佐(退職手当担当)、山石総務課課長補佐ほかが対応しました。
 はじめに、宮島補佐は、今回の調査の目的や、現在の作業状況などについて次の通り説明しました。
・総務省は、民間の退職金の実態調査を昨年3月から12月まで実施してきた。集計・分析を経て、作業は最終段階に入っている。
・人事院勧告後の新聞各紙の社説を見ても、マスコミなどからは見直すべきとの議論が高まっており、大きな関心事になっている。そうしたなかで、調査結果については、今後、遅滞なく発表することが必要であり、官民比較の結果についても、国民のみなさんの信頼を得るためにも公表すべきと考えている。
・官民の較差をふまえたうえで、水準の見直しが必要と思われる。その過程では、労働組合のみなさんからも十分に意見をうけていくこととしたい。

 これをうけて、浜島事務局長は、「退職手当の見直しに総務省が着手しているのは承知していたが、この時期に調査結果を公表するという理由はどこにあるのか。もし手当が引き下げられれば、公務員労働者の生活に大きな影響をおよぼすこととなる。民間と比較する際にも、比較企業規模が適切なのか、その企業に正常な労使関係があるのかなど、公務職場にふさわしい比較検討が必要だ」と指摘しました。
高級官僚の高すぎる退職金などゆがんだ制度こそあらためよ
 これに対して、宮島補佐は、「公表しなければ前に進むことができない。結果は、遅滞なく示していきたい。調査対象の企業については、人事院の抽出手法を参考にしながら作業した。ご理解をいただきたい」と回答しました。
 交渉参加者からは、具体的な金額の公表をふくめた今後の検討スケジュールなどについて質問が出されましたが、「まだ精査が終わっていないので今日は示せないが、民間の退職金の支給額は近日中には公表したい」としました。
 最後に、「民間との均衡が必要であることは当然としても、しかし、マスコミなど国民批判の中心は、高級官僚などの高すぎる退職金にある。そうしたゆがんだ制度をあらためていくことこそ必要ではないのか。地方公務員をふくめて多くの公務労働者の退職後の生活に影響がおよぶことであり、それをふまえた慎重な検討が必要だ。今日は、現在の検討状況をうかがったということにとどめ、あらためて公務労組連絡会としての要求や考え方を示す」として、今後の誠意ある対応を求めて交渉を終えました。
以 上