No.338
2002年8月8日
公務労組連絡会FAXニュース
◆トップページへ ◆私たちの運動ページへ

生活破壊の賃下げ勧告は実施するな
= 勧告後ただちに総務省・労働省に要求書を提出 =

 人事院は8日、公務労組連絡会などの反対を押し切って、「2.03%(7,770)円」の官民の逆較差にもとづく賃下げ勧告を強行しました。これによって、平均年収で15万円もの賃下げとなります。  こうしたなかで、公務労組連絡会・国公労連は、6日から連日つづけてきた座り込み行動を人事院への「抗議集会」に切り替え、勧告史上初となる基本給切り込みに対して、仲間たちの怒りの声をぶつけました。  また、公務労組連絡会は、勧告後ただちに、その取り扱いをめぐって、生活悪化につながる賃下げ勧告を実施しないよう、総務省・厚生労働省と交渉しました。

総務省交渉
「賃下げ勧告にもとづく給与法の改定反対」を強く主張
 16時からの総務省との交渉には、駒場議長を先頭に、浜島事務局長、黒田・高坂両事務局次長が参加しました。総務省側は、人事・恩給局総務課の伊藤課長補佐、山石課長補佐が対応しました。
 はじめに、駒場議長が、「本日、人事院勧告が出されたが、2.03%の逆格差による基本給引き下げを、4月にさかのぼって実施するもので、公務労働者の生活にかかわって重大だ。人事院勧告が労働基本権制約の『代償措置』であるはずなのに、賃下げ勧告は、人事院の役割を放棄するものだ。また、公務員賃金の引き下げが消費不況を加速させるなど、経済に与える影響も大きい。賃下げ勧告は認められない。勧告が出たあとは、その取り扱いは政府にゆだねられることとなる。その点から公務労組連絡会の要求にそった対応を求める」とのべ、浜島事務局長が「要求書」の各項目について説明し、実現を求めました。
 伊藤課長補佐は、「本日、第1回の給与関係閣僚会議が開かれ、対応の検討について着手したところだ。今後の予定は決まっていない」として、政府部内での検討状況を説明しました。そのうえで、「労働基本権制約の代償措置として、人事院勧告制度は根幹をなすものである。したがって、政府としては、人事院勧告制度尊重の姿勢は堅持していく。財政事情など公務員をとりまくきびしい環境はあるが、政府としては、国政全般との関係を考慮しつつ、勧告の実施にむけて努力したい」と回答し、賃下げであっても、従来どおりの対応をすすめ、「完全実施」するとの立場を示しました。
 また、その他の要求項目については、「しかるべきタイミングで回答したい」とのべるにとどまりました。
 これに対して、駒場議長は、「制度史上かつて経験のない基本給切り込みの勧告が出された。公務員の利益を守るのが、労働基本権制約の『代償措置』としての勧告制度の役割だ。これまでなかった基本給引き下げに対しても、それを制度の維持尊重と言うのは断じて認められない」とのべ、「勧告に基づく給与法の改定反対」をあらためて強く主張し、総務省との交渉を終えました。

厚生労働省交渉
「マイナスと言ってこれまでと違う対応はできない」と強弁
  引き続き、交渉団は、17時からの厚生労働省との交渉に臨みました。交渉団には、田中副議長が合流し、厚生労働省側は、鈴木大臣官房審議官(労働基準・労使関係担当)が対応しました。
 駒場議長が総務省交渉と同趣旨の主張をのべ、浜島事務局長が「要求書」の趣旨についてのべました。
 鈴木審議官は、「みなさんの要求の趣旨はわかった。しかし、今年の勧告は、きびしい経済状況や雇用情勢、民間賃金などを総合して、人事院が真剣に検討した結果だと理解している。厚生労働省は、各界からいろいろな意見があるなかで、一貫して、勧告制度は尊重すべきと主張してきた。労働基本権制約の代償措置として、基本的に人事院勧告は尊重すべきだ。今年は、マイナスとなったが、従来の立場から勧告どおり実施すべきと考えている」と回答し、総務省と同様に、勧告どおりの実施を示唆しました。
 浜島事務局長は、「2%もの官民逆格差が、本当に民間の賃金実態を反映しているのか。2.03%となった根拠もあいまいだ。われわれの要求や、民間の賃金実態からも反している勧告を、単にこれまでどおり尊重することは問題だ。まず、公務労働者の生活実態や要求を謙虚にうけとめ、十分な検討をすすめるべきだ」とかさねて求めました。
 しかし、鈴木審議官は、「民間の賃金実態を十分調査したと人事院も言っている。私としても、十分に検討されたものだと思っている。労働基本権制約の代償措置として人事院勧告制度がつづいてきた。制度を守るために努力してきたことを理解してほしい」として、これまで公務員賃金に対するさまざまな圧力があったなかで、「完全実施」を守ってきた立場を言外にあらわしました。そのうえで、「マイナスだからといって、これまでと違う主張はできない」と、賃上げでも賃下げでも従来どおりという対応に固執しました。
 駒場議長が、「主張は平行線だが、公務労組連絡会としては、賃下げという中身に照らすと、政府がなんの検討もなくその通りに決定してもいいのかという問題意識を持っている。代償措置の前提には、公務員の利益擁護があるべきだ。さらに、公務員の労働基本権制約は、国際的に見てもおかしい。基本給引き下げの異例な事態であり、私たちの思いを受けとめてもらい、要求項目について十分に検討していただきたい」と求めました。
 鈴木審議官は、最後に「みなさんの要望の趣旨はわかった」とくりかえしてのべました。
3日間の座り込み行動に1,170人が熱く結集
勧告強行直後の昼休みに「抗議集会」を実施
 3日目に入った人事院前の座り込み行動は、8日午前に賃下げ勧告の強行が伝えられると、昼休みには、人事院に対する「抗議集会」に切り替え、あふれる怒りを人事院にぶつけました。人事院前で勧告当日に抗議行動をとりくむのは初めての歴史的な行動となりました。
 主催者あいさつした国公労連堀口委員長は、「民間の賃下げも上回るマイナス2%の勧告は、小泉内閣の賃金抑制政策に迎合し、中央人事行政機関としての人事院の権益を守ったものだ。まさに、『人事院の人事院による人事院のための』マイナス勧告である」と、初の賃下げ勧告を断罪しました。そのうえで、「全国の仲間たちの団結の力で、この攻撃をはねかえそう」と呼びかけました。
 数多く参加した国公労連の参加者に連帯して、公務労組連絡会駒場議長が、「猛暑のなか連日参加された仲間の奮闘に敬意を表する。人事院の役割放棄に抗議する。賃下げ勧告は国際的にも批判をあびるものだ。公務員の賃下げが消費不況を加速するとマスコミも報じている。そうした世論の広がりに確信を持ってたたかおう」とあいさつしました。
 民間組合を代表して全信労の笹本書記長の激励あいさつ、国公労連小田川書記長の闘争報告、4名の代表の怒りの決意表明につづき、最後に、国公労連山瀬副委員長が「古代メソポタミア文明のハンムラビ法典には、『他人のものをとるな。とったらとりかえせ』という法律がある。支給された賃金まで人事院が手をつけるというのなら、かならずとりかえしてやろう。その決意を固め合おう」と腹の底から訴え、団結ガンバロウを三唱して「抗議集会」の幕を閉じました。
 座り込み行動は、6日からの3日間で、国公労連を中心にのべ1,170人が参加し、炎暑をついて、文字通りの「怒りの総行動」として貫徹されました。仲間たちの怒りをエネルギーに変え、「賃下げ許すな」のたたかいに発展させていきましょう。
以 上