No.334
2002年8月2日
公務労組連絡会FAXニュース
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賃下げに固執、「調停不調」の異例の事態に
= 仲裁機関としての役割を放棄した中労委に抗議の声明を発表 =

 中央労働委員会(中労委)は、国営企業の賃金紛争にかかわって、1日夜から続けられてきた調停作業を本日(2日)早朝打ち切り、調停を不調に終わらせました。
 国営企業労働者の賃上げにかかわっては、各企業当局が、「賃金水準を実質引き下げる必要がある」などとして、賃下げの姿勢を強めながら、4月になっても今年度の賃上げ回答を示さず、郵産労などが6月7日に中労委に調停を申請していました(FAXニュースNO.325、6/7付参照)。
 やむにやまれず公正・中立な第三者機関としての中労委の判断を求めたにもかかわらず、結果的には、政府の総人件費抑制政策に追随しつつ、中労委が「調停不調」とみずからの判断を放棄したことは重大です。
 公務労組連絡会は、この間、郵産労の調停申請後ただちに、全労連とも共同で、郵産労の賃金要求にもとづき、国営企業労働者の生活と労働の実態をふまえた賃金改善を求めて、中労委が公正な判断を示すことを申し入れてきました。
 また、7月11日には、中労委に再度の申し入れをおこなうとともに、調停作業が大詰めをむかえた7月31日の「第2次中央行動」では、公務各単産・全労連とともに中労委前の要求行動を緊急に配置し、とりくみを強めてきました。
 一方では人事院勧告制度はじまって以来の基本給引き下げがねらわれているとき、賃下げの流れをくい止め、政府・財界総がかりの攻撃を阻止するため、公務・民間のすべての労働者の力を合わせたたたかいがいよいよ重要となっています。
 こうした立場から、公務労組連絡会は、全労連・郵産労とともに、別掲の「声明」を発表し、仲間たちのいっそうの奮闘を呼びかけました。

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中労委「調停不調」に対する声明
2002年8月2日
全国労働組合総連合
公務労組連絡会
郵政産業労働組合
1.郵政産業労働組合(郵産労)など国営企業労働組合が、中央労働委員会(中労委)に申請していた賃金紛争に関する調停は、本日早朝、不調に終わった。
  この結果は、国営企業労働者の生活と労働の実態にもとづく切実な賃上げ要求を踏みにじるとともに、政府の賃金抑制政策に追従し、国営企業労働者の紛争を解決する公正・中立な仲裁機関としての中労委の役割を放棄したものであり、かつ不況打開に障害を持ち込むものであり、断じて容認できない。

2.いま、戦後最悪の失業率、実質賃金や消費支出の減少など、日本経済の再生をはかるためにも、民間と公務における「リストラ・賃下げの悪循環」を断ち切ることが重要であり、国営企業労働者の要求と労働・生活の実態を直視し、中労委が第三者機関としての判断を示すことが求められていた。
  しかし、昨夜から続けられてきた調停作業には、そうした観点は見あたらず、政府・財界の賃金引き下げ政策に服従するのみで、その結果として「調停不調」に陥ったものである。このような経過からみるならば、自らの任務と責任を放棄し、結果として中央労働委員会の存在自体を否定するものにほかならない。

3.今回の調停申請は、当局が「本年度の賃金水準を実質引き下げる必要があるが、民間企業の賃金交渉妥結等を見極める必要もある」として回答も示さない異例の事態のもとで、労働組合がやむにやまれず中労委に判断を求めたものである。その後、中労委の事情聴取の場においても当局は、民間準拠の判断基礎となる資料を意図的に変更してまでも賃下げに固執してきた。こうした不誠実な態度こそが「調停不調」の最大の要因である。

4.郵産労は、6月7日の調停申請以来、@非常勤職員を含む国営企業労働者の生活と労働の実態をふまえることA官民比較手法については、企業規模を「1000人以上」とすることB民間労働者や一般職国家公務員との賃金格差については、適性・公正な調査に是正することなど調停作業の改善を強く要求してきた。
 とりわけ、中労委のあっせん・調停・仲裁の役割は、国営企業労働者が憲法で保障されている争議権を不当に制約されている下で、労働者の基本的人権擁護の立場にたって紛争解決にあたることにあることを明らかにしてきた。
  全労連・公務労組連絡会は、郵産労の調停申請を全面的に支持し、公正な調停・仲裁を求めた「申し入れ」をおこなうとともに、3500人を結集した7・31中央行動では、全国の仲間とともに官民一体で中労委への要求行動を強めてきた。

5.政府・当局の姿勢は、2003年4月からの郵政公社発足、印刷・造幣局の特定独立行政法人化ということを見据えて、利潤追求・民間的経営への地ならしを策している。また、賃下げは、国営企業労働者の生活改善がされないばかりか、個人消費の落ち込みで日本の深刻な不況がいっそう拡大することは必至である。
  私たちは、郵政など国営企業労働者の生活と労働条件の改善と郵政事業の「公社化」などに反対する国民的な共同闘争を発展させるとともに、2002年人勧にむけた月例給・一時金・諸手当削減の「マイナス人勧」を許さないため、全力でたたかいぬくものである。
以 上