No.311
2002年3月4日
公務労組連絡会FAXニュース
◆トップページへ ◆私たちの運動ページへ


「民間の実態はきびしい」との回答に終始
  =公務労組連絡会が2002年春闘要求で人事院と交渉(3/4)=
 
 公務労組連絡会は3月4日、「2002年春闘要求」の実現を求めて人事院と交渉しました。
 2月15日に要求書を提出して以降、はじめての人事院交渉であり、「17,000円以上」の賃上げをはじめ、生活改善にむけた切実な要求の実現を迫りましたが、人事院は、民間の雇用情勢や賃金のきびしさをしきりと強調する態度に終始しました。
 春闘要求に対する最終回答日が3月19日とされているもとで、3月13日の中央行動を成功させるとともに、職場からの「要求決議」の集中で、人事院に誠意ある回答を迫っていくことが求められています。
 交渉には、駒場議長を先頭に、浜島事務局長、黒田・高坂両事務局次長、吉田幹事(権利専門委員長)、松本幹事(公務員制度改革対策委員長)、先水幹事が出席し、人事院からは、勤務条件局の和田課長補佐、箕浦課長補佐が対応しました。
 はじめに駒場議長から、「提出した要求は、過日開いた臨時総会で議論され決定されたもので、公務労働者の切実な要求だ。春闘要求アンケートでは、6割が生活苦しいと回答しているが、一時金カットや3年連続の年収マイナスの反映だ。『1,7000円以上』の要求を重く受けとめ、納得いく回答を求める。また、公務員の賃金は社会的な影響力を持つことから、消費回復で不況を打開していく観点からの改善を求める。民間組合からは、公務員賃金を上げるべきとの理解はひろがっている」とのべ、要求への誠意ある回答を迫りました。
 さらに、「公務員制度改革」にかかわって、駒場議長は、「昨年12月の『大綱』は、内容も手続きも問題があり、撤回を求めている。とくに、労働基本権制約を維持しながら、各省大臣の権限を強化することは認められない。人事院の役割が議論になっているもとで、職員の利益を擁護する第三者機関としての人事院の役割発揮を求めたい」とのべました。
 浜島事務局長は、要求書の内容についておおむね以下の点を重点的にのべました。
 ○「17,000円以上」の賃上げは、3分の2以上のアンケート回答者が要求するものだ。昨年より金額は下がっているが、それだけに切実さは高まっている。地方自治体では、勧告の値切りなども広がっている。一歩も引けない要求であり、「民間準拠」にとどまらない回答を強く求める。
 ○非常勤職員の賃金底上げは重要な課題だ。全教の臨時・非常勤職員アンケートでは、ほぼ7割が月20万円以下の賃金で、10万円以下は27%にものぼる。また、5割の人が雇用不安を感じている。「時間1,000円、日額7,400円」の賃金改善を求める。
 ○4年連続の一時金切り下げは絶対に許すことができない。また、社会情勢が変化しているもとで、重点要求として扶養手当の改善を求める。
 ○労働時間短縮では、1800時間の早期実現にむけて、人事院として具体的な施策を打ち出すべきだ。介護休暇・育児休業の改善にともなって、無給規定の見直しを求める。また、子どもの看護休暇の新設にむけて、年間14日間、有給の制度実現を求める。
 ○公務員制度の民主化の課題では、国民の批判の声に応え、官僚の天下りを人事院としてきびしく規制し、公務に対する国民の信頼を勝ちとるよう人事院が動く時だ。
 ○健康・安全確保について、過労によってミスもおこしかねない看護婦の2交代勤務など過酷な勤務をやめるよう、人事院として具体的な指導をすべき。また、国家公務の職場にも、職場安全衛生員会の設置などをすすめるよう求める。

 これらの要求に対して、和田補佐は、「要求はうけたまわった。多岐にわたる内容であり、具体的なコメントはさしひかえる」としながら、「民間実態を反映し、昨年はきびしい勧告となった。今年も、雇用の悪化や、賃上げ要求なしの民間組合が増えていると報道され、これまでになかったほどきびしい情勢だ。夏のボーナスもさらにきびしくなると懸念している。国民の目もきびしくなっており、公務員賃金に対する国民の理解と納得がもっとも重要だ。人事院としては、実態調査で民間給与を把握し、今年の勧告に反映させていく。その過程でみなさんの意見をうかがいながら、具体的な作業をすすめる」と回答しました。
 また、箕浦補佐は、「労働時間短縮にむけては、政府全体のとりくみが必要だ。そのことは、『公務員制度改革大綱』でも触れている。政府と連携し、各省の努力を求めて人事院しても対応していく。子どもの看護休暇は、制度化にむけて引き続き検討をすすめる。男女共同参画社会にむけて、計画的なとりくみを推進する。その立場から、育児休業・介護休暇は、任期付き任用制度の実施などで、4月からの円滑な実施ができるように準備をすすめている。健康問題は、人事院のメンタル相談室を本院とすべての地方事務局に開設したが、引き続き、職員の健康管理に努めていく」と回答しました。
   
●「第三者機関」としての人事院の姿が見える回答を

 交渉参加者からは、松本幹事が、「多くの自治体では、人事委員会勧告の値切り・凍結なども強行され、『代償措置』としての人事委員会勧告の機能が低下している。これを重大な事態と受けとめるべき。人事院としてなぜ意見表明もしないのか。第三者機関としての機能がなくなっており、そもそも人事院勧告が必要なのかと言われてもしかたがない。もっと地方の状況を真剣に考えるべきだ」とのべ、先水幹事は、「国民の声のきびしさをしきりと強調するが、その背景には、繰り返される官僚の不祥事がある。人事院は、そうした事態に対して、第三者機関としてもっとモノが言えるはずだ。そうした努力もせずに逃げ回り、そのツケが今まわってきていることをきちんと認識せよ」とのべました。
 最後に、浜島事務局長が、「人事院の存在自体が問われている時期に来ている。労働基本権制約の『代償措置』であり、第三者機関としての人事院の姿が見えるように、従来にない方向が打ち出されるような回答を求める」とのべて交渉を締めくくりました。                                       
以 上