No.308
2002年2月1日
公務労組連絡会FAXニュース
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「大綱」にもとづき制度設計させてもらう
= 「公務員制度改革大綱」決定後はじめての推進事務局交渉を実施 =
 
 公務労組連絡会は2月1日、行革推進事務局と交渉しました。昨年12月の「公務員制度改革大綱」決定以降はじめての交渉であり、別掲の「申入書」を提出し、あらためて「大綱」の撤回、誠実な交渉・協議のもとでの検討作業、労働基本権の回復などを求めました。
 これに対して、行革推進事務局は、「公務労組連絡会とは誠実に対応したと考えている。『大綱』にもとづき制度設計に入る」とのべ、今後の日程をふくめ、あくまでも「大綱」にそって作業をすすめる態度を明らかにしました。
 また、交渉では、地方公務員の制度検討については、総務省の公務員部で具体的な検討をすすめることも表明しました。
 交渉には、駒場議長、田中副議長(郵産労)、浜島事務局長、黒田事務局次長が出席しまし、行革推進事務局は、谷内企画官、渡辺補佐ほかが対応しました。 

 「公務労組連絡会とは誠実に協議した」と強弁

 はじめに駒場議長が、「『大綱』決定直前の交渉でも撤回と再検討を求めてきたが、現時点でも、労働基本権や天下りへの対応などの内容、閣議決定直前に労働基本権制約維持を示してきた手続きの両面から到底納得できない。『大綱』の撤回を求める。また、失業者の増大など社会的不安のもとで公務員の果たす役割は高まっている。その一方で、NGO会議への外務省の対応や政治家の介入に国民批判が集中するなかで、民主的公務員制度の確立が不可欠と考える。全体の奉仕者としての役割を発揮できる制度の実現をあらためて強く求める」と迫りました。
 また、浜島事務局長は、「申入書」の内容を説明しながら、「外務省問題でも、特定の政治勢力が行政と結びつけば、公正な行政は遂行できないことが明らかとなった。国民世論をふまえて練り直すべきだ。また、『大綱』は、交渉・協議を尽くし、労働組合の合意や理解を得られたものでは決してない。行革推進事務局はその点についてどう認識しているのか?」とただしました。
 これに対して、谷内企画官は、「労働基本権問題を含めて、みなさんと誠実に協議してきたと考えている。撤回する考えはない。閣議決定された『大綱』にもとづいて制度設計をすすめる」とのべたうえ、「労働基本権については、与党の結論もふまえたうえで、公務の安定的・継続的な運営、国民生活への影響などを総合的に勘案し、相応の措置を確保しつつ、現行の制約を維持することとしした」などと「大綱」の内容を繰り返しました。また、天下りに関しては、「事前・事後を通じたチェック体制などルールの確立をめざすが、天下り禁止と言うが、全部がダメだとは思っていない」など回答しました。
 その他、地方公務員制度の検討については、今後、行革推進事務局との連携のもとで、総務省(地方行政局)の公務員部で検討作業をはじめることや、「新たな評価制度」の試行は、現時点では具体的に決まっていないが、各省当局や労働組合の意見を聞きながらすすめることを明らかにしました。
 
「交渉・協議」を尽くさない「大綱」は撤回しかない
 
 昨年末、とりわけ労働基本権問題について、「大綱」決定直前になって「現行の制約を維持」との考え方を示してきた経過からしても、「誠実な交渉・協議」という公約を行革推進事務局が一方的に踏みにじってきたことは明らかです。それにもかかわらず、「公務労組連絡会ときちんと対応した」などと強弁する推進事務局の態度は断じて認められません。
 浜島事務局長は、「誠実などとというが、それは協議した回数だけをあらわしているのではないか。労働基本権問題の結論が、自民党の方針決定を受けたことを明らかにすべきだ」と強く迫りました。
 駒場議長は、「公務員制度審議会の答申にかかわって、消防職員の団結権保障、労使交渉不調の際の調整機能、刑事罰の撤廃などの課題は結論が出ていない。労働基本権に代わる『相応の措置』とかかわって、これらの課題をどう検討するのか」とただしました。
 推進事務局は、「給与水準の決定などは、人事院が勧告するという現行制度が維持される。指摘された問題については承知している。公制調などでの過去の議論も念頭に置きながら、制度設計の検討作業をやっていくこととなる」などと回答しました。
 最後に駒場議長が、「あらためて『大綱』は認められないとの態度を表明する。今後とも誠意を持って労働組合と交渉・協議にあたるよう求める。そのことからも、石原行革担当大臣との交渉を強く申し入れる」とのべ、交渉を終えました。
以 上
2002年2月1日
                               
行政改革担当大臣
  石原 伸晃 殿
                        
公務労組連絡会 議長 駒場 忠親

「公務員制度改革」の抜本的転換を求める申し入れ
 
 政府は、昨年12月25日、「公務員制度改革大綱」の閣議決定を強行しました。その内容は、公務員を憲法にもとづく「国民全体の奉仕者」から政権党など「ごく一部の奉仕者」に変質させようとするものであり、マスコミからも「国民の願う霞ヶ関改革とかけ離れたものだ」(1/5毎日・社説)との批判がでています。今後の「公務員制度改革」の推進にあたっては、「大綱」を撤回・再検討し、国民の行政に対する厳しい声や「天下り」などの公務員批判に応える真の改革が求められています。
 公務労組連絡会は、「公務員制度改革大綱」の策定にむけて、労使の交渉・協議を尽くし、国民的な合意形成をはかることを一貫して求めてきました。とりわけ人事管理制度の見直しは、公務員労働者の労働条件決定システムを大きく変更する問題であることから、公務労働者・労働組合の同意を前提としなければならないことを強く要求してきました。そのためにも公務労組連絡会は、公務員制度の民主的改革要求を対置し、対話と共同のとりくみを通じて国民的支持を広げる努力を積み重ねつつ、行革推進事務局との交渉も精力的に行ってきました。
 しかし、行革推進事務局は、改革の根幹となる労働基本権回復要求に対して、与党の協議結果待ちを口実に回答を先送りし、最終的に「労働基本権制約は現状維持」との結論を「大綱」に盛り込むという暴挙をおこないました。これは、政府がILO第89回総会の場で公務員制度改革の推進に係わり組合等と「誠実に交渉・協議を行う」とする公約を踏みにじったもので、信義に反する行為といえます。
 また、「能力等級制度」を軸とする新人事制度は、当局の恣意的な運用を誘導し、公務労働者の生活を脅かすことになり、そのことが「行政サービス」の低下をもたらすことは明らかであり、断じて認められません。
 このように、手続面からも内容面からも重大な問題と欠陥がある「大綱」は撤回し、公務労働者が生きがいと働きがいをもって全ての国民に奉仕できる民主的公務員制度を確立することです。そのために、労使の交渉と協議を誠実におこない、国民的検討のうえで「公務員制度改革」をすすめることを求め、以下の申しれをおこなうものです。
 
 
1、「公務員制度改革大綱」を撤回し、改めて労使の交渉・協議のもとで公務員制度改革をおこなうこと。
 
2、国際的にも遅れている公務員労働者の労働基本権制約について最優先で見直し、労使対等による労働条件決定システムの確立をはかること。
 
3、中立・公正・清潔な行政と公務員をという国民要求に応えるため、「天下り」の禁止、政官財癒着の根絶をはかるとともに、採用・昇進・再就職など公務労働の全ステージにおける問題を洗い出し、必要な改善をおこなうこと。
 
4、国家公務員法の見直しにあたって、公務員は「全体の奉仕者」であるとともに労働者であるとの基本的性格をふまえ、労働組合との交渉・協議を尽くし、合意のうえにおこなうこと。また、地方公務員制度の改革について、地方自治の本旨をふまえるとともに労働組合との協議のうえにすすめること。
 
5、「評価制度」問題については、その設計と試行計画を含め当該労働組合との協議・合意のうえですすめること。
                                  以 上