No.305
2001年12月20日
公務労組連絡会FAXニュース
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「大綱原案」は撤回して再検討しろ
=公務労組連絡会が行革推進事務局と交渉、閣議決定断念せまる=

 「公務員制度改革大綱」原案が提示されたことをふまえ、公務労組連絡会は20日、政府・行革推進事務局と交渉し、「労働基本権の制約維持」などを内容とした原案の撤回を求め、労働組合との交渉・協議もないままの閣議決定の断念を強く迫りました。
 推進事務局は、「25日の『大綱』の閣議決定をめざしたい。労働基本権問題は、与党の議論の結果だ。制約は維持されても、代償機能は発揮される」などとのべ、労働組合の意見がどうあれ、あくまでも「政治日程」である25日の閣議決定を強行する構えであることを明らかにしました。
 1時間30分におよんだ交渉では、「与党の結論」と繰り返す推進事務局の不誠実さに、交渉団が声を高くする場面もありましたが、最後まで「原案」のままの決定との姿勢を変えませんでした。
 こうした対応をふまえ、公務労組連絡会では、来週、「大綱」決定が強行された場合には、抗議の行動にとりくみ、職場の怒りを政府に集中していくこととします。
 
 
●基本権制約でも「代償機能は引き続き発揮される」と強

 交渉には、公務労組連絡会から駒場議長、松村副議長、浜島事務局長、黒田事務局次長、松本幹事(公務員制度対策委員長)、国公労連の伍副委員長が出席し、推進事務局側は、公務員制度等改革推進室の谷内企画官、渡辺補佐ほかが対応しました。
 はじめに、駒場議長が、「推進事務局の原案は、公務労組連絡会が求めてきた労働基本権回復をはじめ民主的公務員制度の実現という要求から、とうてい受けいれられない。また、労働基本権の検討結果については、18日になってはじめて示されたものであり、『交渉・協議』を約束してきた経過からも認められない。抜本的に再検討し、協議を尽くすべきだ。このまま閣議決定はやめよ」と求めました。
 また、浜島事務局長は、「公務労組連絡会としては10月に要求書を提出して以降、労働基本権問題を最重要課題にすえて、早急に検討状況を示すように繰り返してきたにもかかわらず、最終段階になって『労働基本権制約を維持』するとの結論を出してきたことは許されない。検討経過について明らかにせよ。労働基本権と代償措置は『パラレルな問題』と総務大臣が国会答弁しているように、『代償措置』である人事院の役割が縮小されるのに、一方の労働基本権だけがそのままでは認められない」とし、推進事務局の見解を求めました。
 谷内企画官は、「推進事務局としては、早く結論を出すように努力してきたが、結果的に遅くなってしまい申し訳なかった。労働基本権のあり方の検討は、公務の安定的な運営、国民生活に与える影響の観点が重要だ。議員内閣制のもとで、与党の議論を重視する必要があり、結論が遅れた。代償機能については、給与水準は現行の人事院勧告制度を維持するし、級別定数に代わる『人員枠』も、人事院が内閣に意見の申し出ができる制度となっており、現行制度とは、発揮の仕方が違っても、代償機能は発揮できる」とし、代償機能については何の問題はないと強弁しました。
 これに対して、交渉団からは、「『発揮の仕方が違う』と言うのは、代償機能の質が変わることを認めたことだ。そのことから労働基本権を、原点に戻ってどう検討したのかを示せ」「級別定数の管理を各省にまかせるとなると、今でも差がある男女間の昇格較差がもっと広がることになる。女性の間では不安の声が出ている。第三者としての機能を確保すべき」「憲法で保障された労働基本権を軽々しく考えるな」などの声が集中しました。
 谷内企画官は、「今後、制度設計していくなかで、代償機能をどう担保していくのかを検討することになる。人員枠にしても、人事院は、その決定プロセスのなかできちんとものを言える仕組みになっている。現行の枠組みは変わらない」との回答を繰り返しました。
 
●与党いいなりの「公務員制度改革改革」がますます明確に

 駒場議長は、「労働基本権問題に限って言えば、今日がはじめての『交渉・協議』の場となる。その意味では『第1次回答』と理解する。ここまで引きのばしてきたこと自体が不誠実だが、実質的な協議の場はまったくなかった。それで『大綱』を決定するのならば、ILO総会の政府発言に照らしても重大だ。労使合意にもとづいてすすめ、協議を尽くせ」と、閣議決定の断念を迫りました。谷内企画官は、「ひきつづきみなさんと協議はするが、政府としては25日の閣議決定をめざしている。労働組合との合意が前提ではない」と、「大綱」決定という「政治日程」だけを優先させる姿勢に終始しました。
 駒場議長は、「ぎりぎりまで労働基本権問題が示されず、来週に閣議決定とは、労働組合と協議する意思がないと言っているのと同じだ。『交渉・協議』の約束をやぶり、手続きとして誤りがあったもののどこが『国民のための改革』などと言えるのか。労働組合に対して、きわめて不誠実で信頼できない」と推進事務局の対応を強く非難しました。
 こうした追及に対して、谷内企画官は、「結論がぎりぎりになったのは、与党の議論が延びたためだ。労働基本権問題は遅れたが、これまでの交渉の対応は不誠実とは思ってはいない」とのべましたが、「それは検討が遅れた理由にならない。与党の議論というより、与党いいなりだ。議員内閣制というが、主権者は国民だ。『天下り』禁止など国民の意見がどこに反映されているのか。当該の労働組合の意見も聞かないことは、労働者に対する許しがたい冒涜(ぼうとく)だ」「与党がどう検討しようが、政府・行革推進事務局としての検討があるはずだ。それがないとすれば、推進事務局は何のためにあるのか」など交渉団の声が集中しました。
 また、地方公務員制度の「改革」についても、国家公務員に「準ずる」としたことにかかわって、「何を準ずるのか、明らかにすべき。地方自治の本旨にもとづいた検討こそ必要だ」と追及しましたが、推進事務局は、「地方公務員制度の検討はこれからだ。国家公務員の制度のどこを準ずるのかをふくめて、今後の検討になる」と回答しました。
 
●決定強行ならILOへの対応をふくめて重大な決意でのぞむ
 
 最後に駒場議長は、「結果として、われわれが理解できる回答は何もなかった。交渉・協議を続ける関係は大切にしてきたが、経過をふくめて推進事務局の対応は納得できない。労働基本権の制約維持とする内容も、それを25日に閣議決定することも認められない。再検討を強く求める」と迫り、「仮にこのまま一方的に『大綱』決定することがあれば、ILOへの対応をふくめ、公務労組連絡会として重大な決意をせざるをえない」とのべて交渉を締めくくりました。
 
閣議決定の強行には「抗議打電」行動で怒りの集中を
 
 以上の交渉のやりとりからも明らかなように、政府は、反対の声を押し切り、来週の25日に「公務員制度改革大綱(仮称)」を閣議決定する態度を強めています。公務員の労働基本権はそのままに、当局の人事管理権限を強め、「信賞必罰」による能力・業績強化の人事制度を持ち込むことは断じて認めないとの声を集中していくことが求められています。
 こうしたことから、公務労組連絡会では、「大綱」の閣議決定が強行された場合、抗議の意思を示すため、各職場からただちに小泉首相あての「抗議打電」行動にとりくむことととします。詳細は、各単産の指示にしたがってください。

 ●打電先(電子郵便などでも構いません)
   〒100-0014 千代田区永田町2−3−1 内閣総理大臣 小泉純一郎 殿
 ●例 文
   「公務員制度改革大綱」決定に抗議する。労働基本権を回復しろ。
 
 
以上