No.298
2001年11月27日
公務労組連絡会FAXニュース
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民間給与調査の「グループ分け」と「抽出方法」が見直し対象

人事院の「公務員給与水準の在り方の検討」の方向が明らかに


 人事院は、2001年給与勧告の報告の中で、「公務員給与水準の在り方の検討」を明らかにしました。これは、公務員の給与水準が民間賃金に比べて高いとの指摘や、人事院の給与実態調査が、その地域の民間給与の実態を必ずしも的確に反映していないのではないかとの疑問が出ているとして、民間給与の実態把握や、公務部内の給与配分のあり方について、幅広く見直そうというものです。
 すでに、公務労組連絡会では、11月7日に人事院交渉を実施し、「見直し」が行われた際のさまざまな問題点を指摘し、「同一労働同一賃金」の原則にもとづく全国共通の賃金制度の維持を求めてきたところです(FAXニュースNO.292参照)。
 こうしたもとで、人事院は、「見直し検討」の基本的な方向を別記のように明らかにしました。公務労組連絡会では、人事院が来年の民間調査にむけて作業をすすめていることから、今後、検討の動きを十分に監視しつつ、人事院への対応を強めていきます。

 人事院が明らかにした「見直し」検討の基本的な方向は、比較企業規模や職種、調査対象の企業数など現行の調査方法の基本は変えず、民間実態調査の際の事業所抽出における「グループ分け」「抽出方法」の2つを「見直し」検討の対象にするとしています。

 

●35,000の事業所を約1,000のグループにまとめる


 現在、実施している人事院の民間給与実態調査は、企業規模100人以上、かつ、事業所規模50人以上の全国の約3万5千の民間事業所のうちから、約7,500の事業所を無作為抽出し、そこの事業所で働く従業員の給与について、地方の人事委員会と人事院の共同で、実地調査する仕組みになっています。
 まず、3万5千事業所から、7,500を選び出す方法は、都道府県・政令指定都市の人事委員会がある地域ごとに、業種、企業規模、本店・支店等の違いで「グループ分け」をする作業からはじめます。この「グループ分け」は従来から行われてきたものです。
 それぞれの地域実態によって、当然、このグループ数は都道府県・政令指定都市ごとに異なってきますが、おおむね各地域では10から30程度となり、これを全国で総計すると、今年の場合は1,046グループとなります。
 つまり、業種、企業規模などが似かよった事業所が集まった約1,000のグループができることになります。これが第一段階の作業です。


●「地域の実態を正確に表しているのか」との問題意識が出発点


 さらに、そのグループごとに無作為抽出して、最終的には約7,500事業所まで絞り込みます。もちろん、3万5千すべての事業所を調査することがベストですが、実地調査に費やす時間や予算、人手を考えれば困難がともなうもので、効率的な調査ができ、データの連続性や安定性が確保できるようなグループ分けが求められてきました。
 その結果として、データが一度にたくさん取れるところ(=大企業)が中心となる傾向が現に表れており、人事院は、現行の方法で果たして地域の実態を正確に表しているのかどうかという問題意識を持って、「グループ分け」をする際の基準について「見直し」検討をすすめたいとしています。
 もう一つの「見直し」検討は、約1,000グループから7,500の事業所を選び出す際に使う統計手法についてです。現行の「無作為抽出」による手法が、はたして統計的に適切な方法なのか、恣意的になっていないかなどを検証し、「見直し」を検討したいとしています。


●今後、基本要求をふまえて検討と追及が必要


 以上のように、人事院が明らかにしている「見直し」とは、現行の民間実態賃金調査の基本は変更せず、約3万5千の事業所から約7,500を抽出する手法について検討をすすめることにあります。
 人事院は、今後、共同作業を行っている地方の人事委員会とも話し合いながら、具体的な「見直し」の方法について決めていきたいとしています。
 基本は変えないとしても、民間実態調査の結果への影響は十分考えられます。また、人事院は、こうした調査の「見直し」が、ストレートに公務部内の配分問題に直ちに結びつくとは言えないとはしていますが、今後、地域ごとに給与較差をつけたり、地方自治体職員の給与への影響も予想されます。
 こうした点にも注意しながら、公務労組連絡会として、11月に提出した「要求書」にもとづいた対応を基本に、必要な検討と追及を強めていくこととします。当面、「11・30中央行動」において、各単産代表による人事院への要請行動を配置し、とりくみをつよめます。

以 上