公務労組連絡会は11月16日、東京・全労連会館で「第10回権利討論集会」を開きました。公務共闘の時代の90年の第1回集会から10回目を数え、記念すべき今年の集会は、12月にも政府が「公務員制度改革の大綱」(仮称)の発表をねらうという緊迫した情勢のもとでの開催となりました。
集会では、「公務員制度改革と労働基本権論」と題して、神戸商船大学の根本到助教授が講演し、討論では、労働基本権の回復など民主的公務員制度確立にむけて、各単産からの決意あふれる発言がつづきました。
参加者は、当面する「11・30第2次中央行動」などを成功させ、一方的な「大綱」決定を許さない決意を固め合いました。集会には、単産・地方組織などから約50名が参加しました。
●「労働基本権は当然の権利」とする立場での運動強化を
開会にあたって主催者を代表してあいさつした駒場議長は、「12月の『公務員制度改革の大綱』が策定がねらわれているなかで、この『改革』のなかに労働基本権問題をきちんと位置づけさせるのか、ILO総会での『交渉・協議』の公約を政府に守らせるのかどうかがあらためて重要な問題となっている。公務員制度改革の重要段階での討論集会として、『11.30中央集会』をはじめとするとりくみの意思統一をはかり、たたかいの決起の場となるように奮闘をお願いしたい」と呼びかけました。
また、失業率が5.3%となるなど暮らしや雇用の危機が深まるもとで、「小泉『構造改革』による国民への犠牲が強まるなかで、こうした攻撃を、公務員制度問題とも結びつけ、国民との協力・共同によってどのように跳ね返していくのかも、今回の集会で議論を深めてもらいたい」とのべました。
つづいて、神戸商船大学の根本助教授から、約1時間にわたって講演を受けました。労働法が専攻で、「ドイツ解雇法」を研究している根本氏は、自治労連の「シンクタンク」として公務労働法にも詳しく、最近は公務員制度改革と労働基本権問題について雑誌で論文を発表するなど活躍しています。
「公務員制度改革と労働基本権論〜労働条件決定システムの問題を中心にして」と題した講演では、政府の「改革」案と労働基本権問題、公務員の労働基本権をめぐる裁判判例の状況と問題点、労働基本権の存在意義などが詳しく報告され、現在すすめられている「公務員制度改革」とも関連させて、ドイツ・アメリカなど諸外国の現状もふまえた公務における労働条件決定システムのあり方などについてものべられました。
根本氏は、「このままでは、『大綱』では労働基本権が『現状維持』となり、まともな労働条件決定システムが確立されない可能性がある。しかし、公務員であろうとも、勤労者であるならば労働基本権は当然の権利だ。当たり前の権利であり、そのことにもっと自信を持って運動してほしい」とのべ、講演を締めくくりました。
●「11・30中央行動」の成功など決意あふれる発言がつづく
引き続き、公務労組連絡会権利専門委員会の吉田委員長から集会への「問題提起」がありました。その後、「公務員制度改革」の現状と、今後のたたかいについて、浜島事務局長から報告がありました。
これらの講演、報告をうけて、集会参加者の発言により討議を深めました。国公労連の山瀬副委員長は、国公労連が9月からとりくんできた行革推進事務局との一連の「交渉・協議」の経過について報告し、そのなかでも、労働基本権については、あくまで検討を先送りする姿勢をとりつづけていること、その一方で、「新人事制度」など現行の勧告制度を否定する労働条件改悪をねらう政府の不当性が強調されました。
こうしたなかで、11月にはILOへ要請団を派遣し、国際的に日本政府を包囲していく計画なども明らかにしました。山瀬副委員長は最後に、「11・30中央行動」には5千名規模で結集するなど、国公労連としてのたたかう決意を表明しました。
自治労連の松本中央執行委員は、まずはじめに、「先頃しめされた『新人事制度の原案』は20万人の国家公務員行政職が対象であっても、これが基準となり地方公務員の人事制度が決定される点できわめて重大だ」として、自治労連として総務省や推進事務局への要請行動にとりくみ、要求実現をめざす決意を表明しました。
また、自治労連が発表した「国民・住民とともに歩む、信頼される『公務員制度』をめざして」とする「提言(案)」を柱に、今後、地域住民とも共同した学習と討議を深め、憲法で保障された地方自治の本旨にもとづく「改革」を幅広く呼びかけていくことなども報告されました。
郵産労の砂山書記次長は、郵政公社化をひかえ、「民営化」も前提にした「合理化」攻撃が強まっている職場の現状が報告されました。
なかでも、年賀状や小包の営業活動を職員に押しつけ、売り上げで評価する郵政当局の人事制度や、「新昇格制度」の導入を通して、多くの自殺者を出すなど職員の権利をふみにじる実態は、「『信賞必罰』の人事管理をめざす公務員制度改革の『先駆者』としての意味を持っている」と指摘しました。
●国民・住民との共同ひろげ民主的公務員制度の確立を
全教の東森書記長は、問題教師は教壇に立たせないとして不適切教員の排除がすすんでいることや、東京での「人事考課制度」など、敗者と勝者をつくる人事管理がすすめられ、教育をゆがめている問題点がのべられました。そうしたもとで、政府の「公務員制度改革」を許さない課題と結びつけ、民主的教育の発展に奮闘する決意を明らかにしました。
また、全教の松村委員長は、文部科学省との対等の交渉が拒否されつづけ、審議会にも労働組合としての意見が反映されないなど、教職員の労働基本権が制約されているもとで、要求前進を困難にしている問題点がのべられました。一方で、父母との共同した運動で、30人学級実現の要求や私学助成の拡充などが前進していることを例にとり、国民との共同をひろげる観点の重要性を指摘しました。
これらの各単産からの報告・発言をうけて、最後に、浜島事務局長が、「公務員制度改革」にかかわって、今後の課題など運動の重点をまとめとしてのべ、集会を閉じました。
半日の集会で、討論時間も十分ではありませんでしたが、「公務員制度改革」問題のたたかいの最中に開かれた集会として、今回の「権利討論集会」は、当面するとりくみの前進にむけて決意を固め合う場となりました。
なお、職場での学習・討議を促進していくために、根本助教授の講演や「公務員制度改革」関連の資料をまとめた「学習資料」を近日中に発行する予定です。活用をお願いします。
以 上
=労働基本権の回復、小泉「構造改革」反対 、報復戦争やめろ=
民主的公務員制度確立11・30中央総決起集会
11月30日(金)午後1時30分開会、2時30分終了予定
※集会後、@行革推進事務局、A国会の2コースでデモ行進
昼休み時間帯には、7千名規模の「怒りの霞ヶ関行動」を配置
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