No.286
2001年10月24日
公務労組連絡会FAXニュース
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「公務員制度改革」に関する要求書を提出

10/24行革推進事務局交渉を実施


 公務労組連絡会は、9月21日、事務局より「新人事制度の基本構造」(議論のたたき台)を提示されて以降、10月3日から17日までの間に国公労連とともに8回の交渉・協議をおこなってきた。このなかで「能力等級」にもとづく任用、評価制度、官民交流と年金問題など様々な制度矛盾と課題が浮かびあがってきた。そうした到達点をふまえるとともに、10月中にも「新人事制度の具体案」を交渉・協議の場に出すといわれてる情勢をふまえ、公務労組連絡会として要求を出し、交渉・協議に臨むことを2回幹事会(10/17)で確認し、本日別掲の石原伸晃行政改革担当大臣宛「公務員制度改革」に関する要求書を10.24中央行動の一環のとりくみとして事務局交渉をおこないました。

 要求書提出交渉は、浜島勇事務局長を責任者に黒田健司事務局次長、松本利寛幹事(公務員制度対策委員長)、遠山享国公労連副委員長、今西清自治労連書記次長、浦岡紀子全教中央執行委員が参加。推進事務局側からは、谷口繁企画官、渡辺学参事官補佐、伊藤俊係長が応対した。

 冒頭、浜島事務局長は、要求書を手交し、公務労組連絡会として要求を提出することの意義を明らかにし、今後の検討・交渉・協議においてその実現を追求することを強調した。つづいて、@官僚の「天下り」、政党との癒着に対する国民の厳しい批判を真摯に受け止め、公務員の中立性が確保されること、A基本的人権として労働基本権を付与すること、B人間らしくはたらく「ルール」を確立し、選別・差別の「信賞必罰」の人事制度は導入しないこと、C「公務員制度改革」のとりまとめにあたっては「労働団体はじめ関係者と誠実な交渉・協議をおこなう」というILO総会での政府公約を守り、協議とつくし双方の合意を基本とすることを求めた。

 これに対して谷口企画官は、要求書を受け取ったことを表明したうえで、今後の日程について「10月中の「具体案」提起をめざして努力している。遅くとも11月始めには提示したい」と述べた。また、新人事制度の具体案と労働基本権とは「セットで出すのが当然」との追求に対し、谷口企画官は「新人事制度を固めるのが先」として、労働基本権問題を後回しにすることを示唆した。

 また、今西、浦岡、松本氏から、現在、検討されている国家公務員の制度改革はすでに地方公務員の労働条件改悪に連動していることを東京などの事例をあげて、交渉・協議を同時並行でおこなうよう要求した。これに対しても公務労組連絡会の交渉・協議のなかでの対応をはかっていくことを示したが、交渉団から自治労連の交渉の拡大を求めた。

 最後に、浜島事務局長より、誠実な交渉・協議を求めるとともに交渉レベルのアップを要求して終えた。

(別紙資料)

                               20011024

 行政改革担当大臣

  石 原 伸 晃 殿

                           公務労組連絡会  

                            議 長 

 

「公務員制度改革」に関する要求書

 

 公務労組連絡会は、内閣官房が「公務員制度改革」に着手して以来、公務労働者の労働条件と公務運営および行政の在り方に直接係わる問題として、組織の総力を結集してとりくみをおこなってきました。とくに、3月27日に行政改革推進事務局が決定した「公務員制度改革の大枠」にたいして、公務員の中立性や勤務条件をそこなうおそれが強く、その進め方も政治主導による強権的なもので、労使関係を軽視したことに強い懸念を表明し、6月の「基本設計」にむけ「公務員制度改革に関する申し入れ」をおこないました。

 しかし、6月29日行革推進本部が決定した「公務員制度改革の基本設計」は、新たな評価にもとづく「能力等級制度」の導入、「能力・業績主義賃金」の強化、各省大臣の人事権限強化と定員管理弾力化など公務員労働者の労働条件決定システムの大幅な変更をはかる一方、労働基本権回復については具体的な提起がありませんでした。また、「天下り」規制緩和、キャリア制度維持・強化、一部の官僚・民間人による「国家戦略スタッフ群(仮称)の創設」をめざしているなど、多くの国民が改善を望んでいる特権的官僚システムの見直しは曖昧にしたままでした。その後9月に事務局から提示された「新人事制度の基本構造」(たたき台)は、相変わらず「信賞必罰の人事管理」の実現をかかげ、「能力等級」制度を基礎とした任用・賃金決定システムの導入をはかるとしており、我々が要求してきたものと大きくかけ離れています。

 私たち公務労組連絡会は、公務員が憲法で定められた“全体の奉仕者”として、国民・住民に“民主的かつ能率的”な公務サービスが提供できる「国民のための公務員制度」を確立することを求めてきました。いまこそ政府は、ILOの場で公約した「公務員制度改革」の内容にたいし「職員団体をはじめとする関係者と誠実に交渉・協議する」ことが問われています。

 以上の趣旨をふまえ、下記事項を要求しますので、その実現にむけて貴職の誠意ある対応を強く求めるものです。

1.「政官財のゆ着」を根絶するため、天下り」(再就職あっせん)を禁止するなど、公務員の中立性が確保できる制度にすること。

2.公務員労働者に憲法で保障された労働基本権をただちに回復すること。

3.国民のいのちと暮らしを支える公務サービスが安定的に提供できるよう、公務員の「働くルール」を確立すること。また、「信賞必罰」の「新人事管理制度」導入を止め、国民のための公正・民主的な公務員制度を確立すること。

4.「公務員制度改革」は、国民サービスへの影響とともに公務員労働者の労働条件に直接関わることであり、誠意をもって労働組合と交渉・協議をつくし、双方の合意なしに一方的な「改革」の強行は行わないこと。

                                   以  上